ブランドの歴史と革新性が感じ取れる
ユリス・ナルダンの注目3コレクション
文:竹石祐三 / Text:Yuzo Takeishi
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:竹石祐三 / Text:Yuzo Takeishi
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1846年、スイスのル・ロックルに創業したユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)。170年を超える長い歴史のなかで培われた時計製造の技術や革新性を今に受け継ぐ数々のタイムピースには、時計店YOSHIDA(ヨシダ)も常に注目し続けている。数あるラインナップのなかでも現在、YOSHIDAがレコメンドするのが、ここに紹介する3つのコレクション。その卓越したクリエイションを検証しながら、改めて名門ブランドの魅力を確認していきたい。
ユリス・ナルダンがその名を世界に轟かせるきっかけとなったのが、高精度なマリーン クロノメーターの開発。マリーン クロノメーターは、船員が天文航法を利用して軽度を算出する際に使われた計器で、当時の航海では不可欠なツールだった。そんな中、1878年のパリ万国博覧会においてユリス・ナルダンのマリーン クロノメーターは同部門での金賞を獲得。その後は世界中の海軍や海運会社に採用され、マリーン クロノメーターの名門としての地位を築き上げていく。
マリーン クロノメーターの開発に端を発する“海とのつながり”をアピールするうえで、ユリス・ナルダンが注力してきたシリーズのひとつが「ダイバー」。現在は300mの防水性能と逆回転防止ベゼルを備えたスタンダードなダイバーズウォッチを筆頭に多彩なラインナップを展開しているが、中でもチタンケースを採用し、パワーリザーブ表示と日付&スモールセコンド表示でダイアルデザインにアクセントを持たせた「ダイバー クロノメーター」は、伝統的なマリーン クロノメーターの意匠を取り入れつつ、ブランドの先進性をも感じさせるコレクションと言えるだろう。
YOSHIDAはそんな「ダイバー クロノメーター」に着目し、同店のみで販売されるスペシャルバージョンを展開。300mの防水性能を備えたチタン製ケースや、独特なすり鉢状の逆回転防止ベゼル、シリシウムを採用した自社製ムーブメントUN-118などはレギュラーモデルを踏襲しているが、YOSHIDAスペシャルでは細かなデザイン要素をブラッシュアップ。ベゼルの0~20分はビビッドなブルーまたはレッドで彩られ、ダイアル上の表記も9時側のブランドロゴのみにとするなど、よりスッキリとした表情に仕上げ、カジュアルな雰囲気を強めている。
ダイバー クロノメーター
■1183-170LE-7M/92-J.1 ■44mm ■チタンケース&ブレスレット(ブラックのラバーストラップが付属) ■自動巻き ■300m防水 ■YOSHIDAスペシャル 限定50本 ■¥1,661,000(税込)
創業以来、海とのつながりをアピールし続けるユリス・ナルダンが、“自然の強大な力”を表現するシリーズとして2020年に新しくラインナップに加えたのが「ブラスト」だ。何より特徴的なのは、そのデザイン。フリークXやスケルトンX、ダイバーXと同様、「ブラスト」にもコレクションを横断するテーマである「X」の文字が与えられており、まさに未知なるものを示すような、幾何学的デザインでまとめられている。
そのひとつ「ブラスト トゥールビヨン」のオープンワークダイアルから確認できるのは、長方形のフレームと象徴的なX字型のブリッジで、フューチャリスティックな雰囲気を放ちながら自社製のUN-172ムーブメントをしっかりと固定。6時位置にはトゥールビヨン、12時位置にはプラチナ製のマイクロローターがレイアウトされ、シンメトリックなデザインの美しさを堪能できる。さらに「ブラスト トゥールビヨン」ではラグにも幾何学的なカッティングが用いられ、ステルス機のようなエッジィかつモダンなフォルムが、革新性を感じさせてくれる。
先進性を感じさせる「ブラスト」とは対照的に、ユリス・ナルダンは伝統的な技法を取り入れたタイムピースも積極的に展開している。それを象徴するのがエナメルダイアルで、ユリス・ナルダンは2012年にエナメルダイアルの専業会社であるドンツェ・カドランを傘下に収め、この伝統技術を継続・発展させるべく尽力してきた。それを窺わせるのが「マリーン トルピユール トゥールビヨン グラン・フー エナメル」と「マリーン トゥールビヨン」の2モデルだ。
両モデルとも、往時のマリーン クロノメーターを腕時計に落とし込んだクラシカルなデザインをベースにしつつ、「マリーン トルピユール トゥールビヨン グラン・フー エナメル」では、約760~900℃という高音でエナメルパウダーを焼成するグラン・フー エナメルダイアルを採用。なめらかな純白のダイアルの中で目を惹くブルーのインデックスもグラン・フーで焼き付けられており、その仕上がりからは、クラシカルであり落ち着いた雰囲気が漂う。
一方の「マリーン トゥールビヨン」がダイアルに取り入れているのがフランケエナメルで、これはギヨシェ彫りの上に半透明のエナメルを施すという、古くから伝わる技法を組み合わせたもの。その仕上がりはグラン・フー エナメルとは異なり、とりわけこの「マリーン トゥールビヨン」では繊細なギヨシェと深みのあるブルーとのコンビネーションによって、吸い込まれそうな表情を作り上げている。
マリーン トルピユール トゥールビヨン グラン・フー エナメル
■1283-310-0AE/1A ■42mm ■ステンレススチールケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■50m防水 ■¥8,327,000(税込)
YOSHIDA 東京本店
東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-5
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営業時間:10:30~19:30
年中無休(年末年始を除く)
名古屋 YOSHIDA
愛知県名古屋市中区栄3丁目17番17号
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営業時間:10:30~19:30
年中無休(年末年始を除く)
ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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