シンプルさの中に技術とセンスを盛り込んだ
パテック フィリップの新たなる名作
文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
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1990年代から高級機械式時計の人気が本格的に復活し、かつて“時計の黄金時代”と呼ばれた1950~60年代を凌ぐ勢いで、数多くのコンプリケーション・ウォッチが作られている。ただ、それらの中には極限の複雑さを求めた結果、“メカニズムの迷宮”に迷い込んでしまったかのようなモデルも少なくない。そこで今回はスイス時計の最高峰に位置するパテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)が近年に発表したシンプルな中に高い技術がきらめくモデルを紹介したい。これらのモデルは、いわばパテック フィリップが生み出した「簡素な意匠と複雑さを融合した新たな傑作・名作」コレクションである。
一見すると通常の三針モデルと思えるが、仔細に観察すると、この時計が特別な機構を備えたものであることがわかる。パテック フィリップの新作「カラトラバ・トラベルタイム 5224」は、独自性に溢れた24時間表示とデュアル・タイムゾーン表示を兼備する、実用性に優れたモデルなのである。
まず24時間表示だが、通常の24時間モデルでは通常の12時位置を24時として、時針が24時間かけて文字盤を一周し、時刻を表示することが多い。だが、このモデルでは文字盤の上半分を昼の時間帯に割り当てて頂点に12時をセット。文字盤の下半分は夜の時間帯となっており、24時はスモールセコンドの位置に割り当てられている。これにより時針が文字盤の上半分にあれば昼、下半分にあれば夜と直感的に理解することができるのだ。
さらに、その時針の下には、もうひとつの時針(副時針)が隠れており、リューズを使って1時間ごとにジャンプさせることで、時間帯の異なるもうひとつの地域の時刻を表示可能。これがつまりデュアル・タイムゾーン表示であり、その機能が必要ない場合は、主時針の下に副時針を隠しておけば良いのである。
18Kローズゴールドを採用した全面ポリッシュ仕上げの美しいケースは、パテック フィリップ伝統の「カラトラバ」のスタイルを採用。優美にカーブしたラグは2段仕上げが施され、その存在感を際立たせている。
カラトラバ・トラベルタイム
ローズゴールドの色調に絶妙にマッチするネイビーブルーの文字盤には、手作業によるローズゴールドの立体的な植字インデックスやドットのアワーマーカーを配置。ストラップもこの文字盤にマッチするヌバック仕上げのハンドステッチ・ネイビーブルーのストラップが採用されている。
■5224 ■42mm ■18Kローズゴールドケース ■カーフスキンストラップ ■自動巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
「もっとも身近なコンプリケーション」と呼ばれるクロノグラフだが、2本のクロノグラフ秒針を備えるスプリット秒針クロノグラフは別格の存在である。ここで紹介する「スプリット秒針クロノグラフ 5370P」は、クロノグラフの中でも特別なスプリットセコンド機能を搭載しつつ、その文字盤に高温で焼成された本七宝(グラン・フー・エナメル)を採用した、真にスペシャルなコンプリケーションなのである。
その魅力は、本作を手にすれば瞬時に理解できるだろう。本七宝ならではの深い色合いと輝きは他の素材にはない魅力。その確かさは立体的な6時のインデックスの下に、小さく「EMAIL」(エマイユ=フランス語で七宝の意味)と表示されていることで確かめられる。
スプリット秒針クロノグラフ
美しいポリッシュ仕上げが施されたケースはプラチナを採用。仕上げに手間のかかる凹型のベゼルを用い、ラグの側面には、これもまた高度な技術が要求される「くぼみ」が施されている。サファイヤクリスタル・バックと通常のケースバックが共に付属。
■5370P ■41mm ■プラチナケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
本七宝文字盤の伝統を継承し、新しく製作されたブルー文字盤の採用によって鮮烈な印象を獲得した「スプリット秒針クロノグラフ 5370P」。計器としての使命を果たすべく、この文字盤は最高の視認性を誇る。また、ケース側面6時位置にはプラチナ仕様を示すダイヤモンドが埋め込まれている。
“極限のシンプル・ウォッチ”と呼ぶべき、時分針だけを装備した「カラトラバ」であるが、そこにはレディスウォッチとして最上級の仕上げが詰め込まれた、エレガントさを極めた名作「カラトラバ 4997/200」なのである。
ケースの素材は赤みを帯びて美しく輝く18Kローズゴールド。そこにセットされる文字盤は、なんとも言えない深みのある輝きを秘めたパープルである。
高貴な色の代名詞と言われるパープルの文字盤は、繊細な同心円状の波形模様を施した後、半透明のラック塗装を50層以上も塗り重ねることで、ここまで魅力的な深みを持つ“パテック フィリップの文字盤”へと生まれ変わる。
そして、このパープルの文字盤は、サテンの風合いを実現したパープルのカーフスキン製ストラップと絶妙なるマッチングを見せるのである。
カラトラバ
18Kローズゴールドのケースを採用し、ベゼルにはゴージャスなダイヤモンド・セッティングが施されている。パープルの文字盤に合わせて、ストラップはサテンの風合いを持つカーフスキン製を採用している。
■4997/200 ■35mm ■18Kローズゴールドケース ■カーフスキンストラップ ■自動巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
エンボス・パターンを刻み、ラック仕上げされたパープルの文字盤と繊細なパウダー仕上げのローズゴールド・アワーマーカーが美しい調和と高い視認性を実現する。ベゼルに施されたジェム・セッティングは、76個のダイヤモンド(約0.55カラット)。
従来、レディスウォッチというとシンプルなものが主流だったが、近年は男性向けとして多種多様なコンプリケーションが開発されるに伴い、女性からもコンプリケーションを求める声が多く寄せられるようになった。
そこでパテック フィリップが開発したのが、ここで紹介するような、美しさと複雑さを高い次元で融合させることで生み出される特別なコンプリケーションである。
この「ムーンフェイズ 7121/200」は、夜空を思わせる深い色合いのブルーの文字盤にうってつけのムーンフェイズ表示機能を搭載した詩情あふれるコンプリケーション。
直径33mmの小振りなケースは、パテック フィリップの初期腕時計を思わせる、「オフィサー」と呼ばれるスタイルを採用。このクラシカルなフォルムとディテールは、なんとも魅力的であり、御婦人の腕を飾る“時を示すジュエリー”としても、実にお似合いである。
ブルー・ソレイユ仕上げの文字盤に、ゴールド植字の立体的なブレゲ数字を配置し、6時に位置にはスモールセコンドとムーンフェイズ表示を搭載している。ケース径は33mmで御婦人の腕を飾るジュエリーとして最適なサイズとなっている。
ムーンフェイズ
華やかなダイヤモンドで飾られたベゼルとブルーの文字盤、そしてこれにマッチするブリリアントブルーの手仕上げのアリゲーターストラップが渾然一体となって強い印象を醸し出す。
■7121/200 ■33mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
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ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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