パテック フィリップが世に送り出した、
2022年、話題の新作
文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報は変更される場合がありますのでご了承ください。
長引く新型コロナの影響や不安定な世界情勢など、実にさまざまなことがあった2022年。今回は、その締めくくりとして2022年にパテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)が発表した数々の新作の中から、特に大きな話題を提供したメンズとレディス合わせて5つのモデルを紹介しよう。
パテック フィリップが得意とする年次カレンダーと、異なるタイムゾーンの時刻を表示するトラベルタイムという、現在、もっとも多くの人に求められる複雑機構を統合させた2022年の新作が「年次カレンダー・トラベルタイム 5326」である。
年次カレンダーとは1年に一度、2月から3月に切り替わる際だけ調整すれば、あとは自動的に月の長さを判別して正しい暦を表示する機構である。
そしてトラベルタイムとは、その名の通り、海外旅行などの際、自国と旅行先など、タイムゾーンの異なる世界2箇所の時刻を表示する機構。
パテック フィリップでは、このふたつの機構を統合するにあたり、トラベルタイム機構が年次カレンダーを制御し、日付調整の際、表示を前進させたり後退させたりできる新たな自動巻きムーブメントを開発した。
この優れた新型ムーブメントを搭載するのが、“永遠のスタンダード”と呼ばれるカラトラバ・スタイルのケース。しかし、ケースの外周部にパテック フィリップの象徴的なデザインのひとつである「クルー・ド・パリ(ホブネイル・パターン)」というギヨシェ装飾を施すことで、新時代の「カラトラバ」の姿を実現した。
また、このモデルのもうひとつの特徴が陰影に富んだヴィンテージ風文字盤。それは外周に向かい濃くなるブラック・グラデーションのアントラサイト・カラーと、古典的なカメラを思わせる凹凸のあるテクスチャーにより構成されている。この個性豊かな文字盤にマッチするようにヌバック仕上げベージュのカーフスキン製ストラップと、エンボス加工ファブリック柄にベージュのハンドステッチを施した2種類のストラップが付属する。
外周に向かって色が濃く変化していくブラック・グラデーションのブルー・ソレイユ文字盤を美しく輝く18Kホワイトゴールド製のケース&ブレスレットに搭載した新作が、この「ノーチラス 5811/1」モデルである。
ケースの外形は41mmとわずかに拡大され、耐水圧機能は12気圧と実用上、十分な機能を保持している。そして、この新作では、1976年に発表され、パテック フィリップの新たな世界を開拓した「ノーチラス」のファーストモデルへのトリビュートとして、2体構造の強靭なケースが採用されている。
さらにケースと同じ18Kホワイトゴールド製のブレスレットは、安全性を高めた折り畳み式バックルを装備。このバックルにはロックすることができる新しい調整システムを採用し、着実かつ安全に時計を装着することが可能となっている。
2022年のトレンドカラーとなったグリーン。それを大胆にも伝統的なグランド・コンプリケーションに導入し、大きな話題を提供したのが、この「スプリット秒針クロノグラフ、永久カレンダー 5204」である。
ケースは18Kホワイトゴールド製。この白く輝くケースに、外周に向かって色が次第に濃くなるブラック・グラデーションのオリーブグリーン・ソレイユ文字盤を組み合わせ、古典的な名機に現代の息吹を取り込むことに成功している。
このモデルのクロノグラフ機構は、2本のクロノグラフ秒針を装備し、たとえば次々にゴールするランナーのタイムを計測することができるスプリット秒針クロノグラフと呼ばれるもの。
この複雑きわまりないメカニズムに、4年に一度の閏年も含め、月・曜日・日のすべてのカレンダーを正確に表示する永久カレンダー機構を統合したのであるから、その複雑さは時計界の頂点のひとつであることは間違いない。
パテック フィリップでは、この機能を持つ手巻きムーブメントの「Cal.CHR 29-535 PS Q」において7件の特許によって保護された技術革新が採用されている。
機械式高級時計の人気が不動のものとなったことで、これまでムーブメントにまで言及されることのなかった婦人用ウォッチの分野においても、本格的な機械式高級モデルの要求が徐々に高まってきた。
そんな声に応え、2013年にパテック フィリップは月の満ち欠けを示すムーンフェイズ機構を搭載するコンパクトなコンプリケーション「7121」モデルをリリースした。
2022年、パテック フィリップは、このモデルに新たな解釈を加え、18Kホワイトゴールド製のケースとエレガントなブルーの文字盤、そしてまるで夜空に輝く星々のような綺羅びやかなジュエル・セッティングを施した女性のためのコンプリケーション「ムーンフェイズ 7121」を発表した。
このモデルのベゼルには、実に132個(約1.09カラット)ものブリリアントカット・ダイヤモンドが2列、交互にセットする特別な《ダンテール》(レース・スタイル)と呼ばれるセッティング技術を採用。
搭載ムーブメントは手巻き仕様のCal.215 PS LU。外径21.9mmというこのムーブメントは、エレガントな直径33mmのケースにピタリと収められている。
男性のものという印象が強い「ノーチラス」だが、2022年の新作として発表された「ノーチラス 7118/1300」は、美しく力強いジェムセッティングによって、女性のためだけに作られた華麗なるスポーティ・ウォッチとして新たな境地を開拓した。
ケースとブレスレットは深い赤みが美しい18Kローズゴールド製。これに同系色に仕上げられた波型模様のモチーフを施した文字盤を採用し、ここにガーネット科のジュエルであるスペサルタイトという、美しい《コニャック》カラーのジュエルがアワーマーカーとしてセットされている。
しかも丸みを帯びた8角形のベゼルには、68個のバゲットカットのスペサルタイトが、12時と6時位置は《コニャック》カラー、9時と3時位置は《シャンパン》カラーというダブル・グラデーションで整然とセット。
このような高度なジュエル・セッティングを施しながら、時計としての基本機能である時刻の視認性は少しも失われていないのが、さすがパテック フィリップである。
レディス・ノーチラス・ハイジュエリー
ローズゴールドめっきが施された文字盤には婦人用ノーチラスに独特の波形模様のモチーフが施されている。文字盤上のスペサルタイトのアワーマーカーは、オジーヴ型と呼ばれる長辺に膨らみをもたせた印象的な形状。文字盤とベゼルにセットされたスペサルタイトは合計79個(2.38カラット)となっている。
■7118/1300 ■35.2mm(10-4時位置) ■18Kローズゴールドケース&ブレスレット ■自動巻き ■6気圧防水 ■価格要お問い合わせ
YOSHIDA 東京本店
東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-5
<Googlemapはこちら>
営業時間:10:30~19:30
年中無休(年末年始を除く)
ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
COPYRIGHT (C) Gressive ALL RIGHTS RESERVED.