パテック フィリップが展開する
カラーダイアルの世界
文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報は変更される場合がありますのでご了承ください。
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カラフルなダイアルがトレンドとなって早くも10年近くの歳月が経過した。ブルーに始まり、バーガンディやブラウン、グレー、そして最近ではグリーンがトレンドとなっている。そこで今回は世界最高峰に位置するスイス・ジュネーブの老舗メゾン、パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)が生み出したカラーダイアルの魅力を紹介しよう。
この10年ほど、カラーダイアルが時計界のトレンド。特に人気が高いのがグリーンだ。とはいえ、永久カレンダーとクロノグラフを融合させたグランド・コンプリケーション(超複雑時計)・モデルでカラーダイアルを導入した例はほとんどない。その点でパテック フィリップが「永久カレンダー搭載クロノグラフ 5270P」にグリーンダイアルを導入したことは快挙である。
このモデルの永久カレンダー表示は実にオーソドックス。12時位置に曜日と月の表示窓を置き、日付は6時位置のインダイアルでムーンフェイズ表示と同軸で表示。6時位置のインダイアル左側に昼夜表示、右側には閏年を示す丸い小窓が置かれている。3時位置にはクロノグラフの30分積算計。9時位置には時計の作動状態を示すスモールセコンドがある。
このクラシカルなダイアルに周辺から中心に向かうほど鮮やかになるグリーンが違和感なくマッチしているのは、さすがパテック フィリップ。
しかも、ニュアンス豊かなグラデーションに呼応するように、艶ありのアリゲーターストラップにはグリーンのハンドステッチを施し、豊かなハーモニーを奏でる。
ケースはプラチナ。この白い輝きも、落ち着いたグリーンのダイアルをより一層、引き立ててくれるだろう。
永久カレンダー搭載クロノグラフ
プラチナ製ケースにはシースルー仕様のサファイヤクリスタル・バックと通常のケースバックが付属する。グリーンのステッチが効いたアリゲーターストラップはブリリアント・ブラック仕上げ。
■5270P ■41mm ■プラチナケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
「ピンクのダイアル」と書くと、この上なく派手なものを想像されるかもしれないが、パテック フィリップの「永久カレンダー 5320」に採用されるローズゴールドめっきのオパーリン・ダイアルは、そんな派手さとは無縁。品格を感じさせる、ほんのりとしたバラ色に染められたダイアルは、程よい華やかさと美しさを表現し、持つ人の感性にすんなりと馴染む親和性をも備えている。
また、このダイアルの個性を形作っているのは、ブラックの縁取りの中に蓄光素材を流し込んだ立体的な植字仕上げのインデックス。クッキリとしたアラビア数字インデックスに合わせて、針もブラックの枠に蓄光素材を塗布した力強いもの。このインデックスと針のコンビネーションにより、「永久カレンダー 5320」の視認性、時刻と表示の読み取りやすさは、この上なく高められている。
永久カレンダーの表示もシンプルで読み取りやすい。12時位置に曜日と月の表示。6時位置のインダイアルで指針式の日付とムーンフェイズを同軸表示。その両脇に昼夜表示と閏年表示の小窓が設置されている。
このムーンフェイズ表示が、122年ごとに1日分のみ修正すれば十分という高精度を実現していることも忘れてはならないだろう。
永久カレンダー
グロッシーな仕上げが施されたハンドステッチ入りブリリアント・チョコレートブラウンのアリゲーターストラップを採用。18Kホワイトゴールドのケースには、ムーブメントを観察できるサファイヤクリスタルのケースバックと通常のケースバックが付属する。
■5320 ■40mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
カラーダイアルを語る際、はずせないのがブルーだ。特にメンズファッションにおいてブルーは極めて重要であり、ブラックやホワイト(生成り)以上に必要不可欠な色がブルーやネイビーである。
したがって近年のカラーダイアルのブームで最初に注目されたのがブルーだった。ここで紹介するパテック フィリップの「ワールドタイム 5230P」でも、澄んだトーンのブルーを採用することにより、煩雑になりがちなワールドタイムの細かな表示を、すっきりとファッショナブルに見せることに成功している。
このモデルで注目は、ダイアル中心部に手仕上げのギヨシェ加工を施していることだ。この加工によって針がダイアルから浮き上がり、視認性を一層高めている。ギヨシェとは単なる装飾ではなく、このような実用的な意味もあることを、このブルーのダイアルが改めて教えてくれる。
ケースは、このモデルとしては初の採用となるプラチナ。このプラチナの輝きに、透明感のあるブルーのダイアルがベストなマッチングである。
ワールドタイム
ケースは希少金属プラチナを採用。ブルーのダイアルに合わせてストラップにはネイビーブルーのハンドステッチ入りカーフスキン製ストラップが採用されている。サファイヤクリスタル・バック装備。
■5230P ■38.5mm ■プラチナケース ■カーフスキンストラップ ■自動巻き ■3気圧防水
センターにセットされた、手作業によるサーキュラー・パターンのギヨシェ仕上げと外周部の都市インデックスの微妙なトーンの違いが美しい対比を見せる。
これまで紹介してきたように、ブルーやグリーン、ピンクなど、さまざまなカラーが登場してきた時計の世界だが、地味ながら根強い人気を誇るのがグレーである。
パテック フィリップの「スプリット秒針クロノグラフ、永久カレンダー 5204」も、そんなグレーのダイアルを装備するモデル。だが、そのトーンは一味違う。
パテック フィリップでは「スレートグレー・ソレイユ」という呼称。「スレート」とは屋根などの建材に用いられる粘板岩。この石材の微妙なグレーのトーンを再現しつつ、ダイアル中心部から周辺に向かって伸びる放射状の筋目模様を入れたサンレイ仕上げを施すことで、光を受けて刻々と変化する印象深いものへと昇華させている。
しかも、スレートグレーのトーンが、ケースに用いられた18Kローズゴールドに非常に似合うことにも注目したい。
また、このダイアルに合わせてアリゲーターのパターンをエンボス加工したハンドステッチのカーフレザーストラップをセット。これもまた絶妙のマッチングである。
スプリット秒針クロノグラフ、永久カレンダー
18Kローズゴールドのケースに微妙な色合いのスレートグレーのダイアルがベストなコンビネーションを見せる。ケースバックはシースルーのサファイヤクリスタル・バックと通常のソリッド・ケースバックが付属する。
■5204 ■40mm ■18Kローズゴールドケース ■カーフスキンストラップ ■手巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
女性のための最初のパテック フィリップ・コレクションとして1999年に誕生した「Twenty~4」にも、印象的なカラーダイアルのモデルが存在する。
そのひとつが、ここで紹介するオリーブグリーンのモデル。ケースのシェイプは縦長のレクタンギュラー。ステンレススチールのケースに同素材のブレスレットを装備し、ビジネスだけでなく、オフタイムのカジュアルな場面にも似合う汎用性の高さを持つ。
そこに登場したオリーブグリーン・ソレイユ仕上げのモデルは、派手さを抑えた渋いトーンのグリーンを採用することで、カラーダイアルでありながらビジネスシーンにも似合うモデルとして完成された。
注目はインデックス。12時と6時がアラビア数字。他は中心部に向かってテーパーがついた細長いトラペーズ(台形)・シェイプとなっており、ここにアール・デコ様式からの影響を感じることができる。
これらのインデックスは立体的な植字仕上げ。枠の中に蓄光塗料を塗布することで夜間での視認性を高めている。もちろん、太めのバトン型ハンドにも蓄光素材が入り、暗闇で光ることで時刻の読み取りは容易だ。
Twenty~4
1920~30年代に世界を席巻したアール・デコ様式から着想を得た「Twenty~4 4910/1200A」。2重の段差を持つケース・サイドには、片側に18個ずつ並べられたダイヤモンドが、その縦のラインを強調する。
■4910/1200A ■25.1×30mm ■ステンレススチールケース&ブレスレット ■クォーツ ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
パテック フィリップは2018年、「Twenty~4®」のコレクションに、自社製造による自動巻きムーブメントCal.324 S Cを搭載する「Twenty~4 オートマチック」を加えた。
「Twenty~4®」において初のラウンドケースを採用したモデルは、ダイアルには日付表示窓とセンターセコンドを備えることでファッション性と実用性を兼備する。
18Kローズゴールド製のモデルはいくつかのバリエーションがあり、こちらの1本はローズゴールドめっきのソレイユ・ダイアルを採用することでケースやブレスレットとトーンを統一している。
放射状の筋目を入れた美しい文字盤は、ローズゴールドの時・分針、立体的なアラビア数字のインデックス、そして日付表示窓のフレームを備えている。
ジェムセッティングも相まって、ジュエリー感覚で着用できるスタイルに仕上げたラウンドモデルは、昼夜問わず女性の腕元を飾ってくれる。
Twenty~4 オートマチック
■7300/1200 ■36mm ■18Kローズゴールドケース&ブレスレット ■自動巻き ■3気圧防水
ベゼルの部分には《ダンテール》と呼ばれる宝飾セッティング技術を駆使した華麗なジェムセッティングを施した。ダイヤモンドの総数は160個(約0.77カラット)となっている。
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ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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