現代時計技術の粋を集めた
パテック フィリップの永久カレンダー
文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報は変更される場合がありますのでご了承ください。
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世界最高峰のウォッチメゾンと呼ばれるパテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)。そのラインナップには、コンプリケーテッド・ウォッチの代表的な機構である永久カレンダーがいくつも含まれている。そこで今回は、そのパテック フィリップが手掛ける「永久カレンダー」と、それぞれのモデルに搭載されるムーブメントにスポットを当ててみよう。
パテック フィリップのコンプリケーテッド・ウォッチを代表する機構といえば、やはり誰もが永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)を思い浮かべるに違いない。
元来、永久カレンダーは、月、曜日、日付、閏年などのすべての暦を針で指し示す「指針式」が懐中時計の時代から一般的であった。
しかし近年では、月と曜日を文字盤に設置した窓で示し、日付を指針式にしたものなども登場し、暦の表示方法に変化が表れてきた。
そんな中、すべての暦表示を12時位置に設置された大型の窓に並べて示す画期的なインライン(直列)表示永久カレンダー機構をパテック フィリップが実現。2021年、「インライン表示永久カレンダー 5236P」として発表した。
その機構はご覧の通り、左から曜日、日付、月の順に表示され、しかも、これらの表示ディスクは完全にフラットで段差がない。これもまた驚きだ。
この表示を実現したパテック フィリップの技術陣は、4枚のディスクを用いて曜日、日付、月を示すモジュールを開発。この新しい機構には3件の技術特許が出願されており、他の追随を許さないものとなっている。
インライン表示永久カレンダー
曜日、日付、月を12時位置にある表示窓で並べて表示する革新的なインライン表示を実現した最新の永久カレンダー・モデル。しかも、このインライン表示には段差がなく、完全にフラットな状態でスッキリと読み取れることが素晴らしい。ケースはラグジュアリーを極めたプラチナ仕様。外周に向かってトーンが濃くなるブラック・グラデーションのブルー文字盤を装備。
■5236P ■41.3mm ■プラチナケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
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「インライン表示永久カレンダー 5236P」に搭載されるのは、インライン表示の永久カレンダー・モジュールを備えた新開発の自動巻き「Cal.31-260 PS QL」。曜日、日付、月、閏年、昼夜を窓で表示し、スモールセコンドとムーンフェイズインジケーターのインダイアルも装備。ムーブメント直径は34mm、厚さ5.8mm。部品総数503個。パワーリザーブ最小38時間、最大48時間。ムーブメントに埋め込まれた巻き上げ用プラチナ製偏心マイクロローターを装備。28,800振動/時。パテック フィリップ・シール認定。
時計愛好家なら一度は訪れたい憧れの場所。それがスイス・ジュネーブにあるパテック フィリップ・ミュージアムである。そこにはパテック フィリップがこれまでに製作してきた歴史的な名品だけでなく、懐中時計の原型となった極めて初期の携帯時計など、パテック フィリップ以前の時計の歴史そのものを物語るヒストリカルな名品が数多く所蔵・展示されている。
そのパテック フィリップ・ミュージアムが所蔵する同社の名品にインスパイアされて誕生したコンプリケーション・モデルが、この「永久カレンダー 5320」である。
その特徴は永久カレンダーの表示を実現しながら、極めてシンプルに感じられる洗練されたダイアルのデザインだ。
非常に上品なクリーム色のラック文字盤には、夜光付ゴールド植字数字を配置し、たっぷりと夜光を塗布した時分針で夜間や暗闇での視認性も十分に確保されている。
搭載されるムーブメントは、Cal.324 S Q。ムーブメントの上部(12時側)に設置された二枚の大型ディスクで曜日と月を並列に表示する。また、文字盤の下部(6時側)には右に閏年のディスク、左に昼夜表示のディスクが設置されており、それぞれ文字盤に開けられた小さな丸い窓で表示するシステムとなっている。
また、この永久カレンダーは自動巻きだが、巻き上げはムーブメントのセンターに設置された21Kゴールドのローターで行う。巻き上げローターに比重の重い金を用いるのは、腕のわずかな動きにも反応して効率良く巻き上げるための仕様。もちろん、その作動の様子はサファイヤクリスタル・バックを通してつぶさに観察が可能。ケース素材と同じ通常のケースバックも付属する。
永久カレンダー
1940~50年代に製作され、ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムに展示されているヒストリカルなモデルに触発されて生まれた永久カレンダー。曜日と月は12時位置の窓に並べて表示。日付は6時位置のインダイアルで針で表示する。この6時位置のインダイアルには同軸で月の満ち欠けを示すムーンフェイズ・インジケーターが装備されている。
■5320 ■40mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■3気圧防水
「永久カレンダー 5320」には、日、月、閏年、昼夜を窓表示し、日付を指針で表示するセンターセコンドの自動巻き「Cal.324 S Q」を搭載。ムーブメント外径32mm、厚さ4.97mm。部品総数367個。29石。パワーリザーブ最小35時間、最大45時間。巻き上げはムーブメントの中心軸にセットされた21金ゴールドのローターにより行う。高精度な調整が可能なジャイロマックス・テンプ装備。28,800振動/時。等時性を高めたSpiromaxRヒゲゼンマイを採用。パテック フィリップ・シール認定。
パテック フィリップが最初の永久カレンダー搭載腕時計「No. 97 975」を製作したのは1925年のことだという。このモデルでは12時位置で曜日、3時位置でムーンフェイズ、6時位置で月、9時位置でスモールセコンドを表示するインダイアルがそれぞれ配置されていた。つまり、すべての暦表示が指針式だったのである。
これは懐中時計時代に製作された永久カレンダーの伝統を継承するもの。すでに紹介したモデルのように、文字盤に設けた窓で曜日や月を表示するシステムが現代のものだということがわかるだろう。
ここで紹介する「永久カレンダー 5327」は、その懐中時計時代からの永久カレンダーの伝統を継承する、すべて指針式で暦を表示するモデル。だからといってすべてが古典的というわけではない。このモデルに搭載されるムーブメントは自動巻きの「Cal.240 Q」。その自動巻きシステムはムーブメントに埋め込まれた小型のローターで巻き上げる「マイクロローター」と呼ばれるもの。しかも、このマイクロローターはより比重が高く、時計のわずかな動きに応じて巻き上げられる22Kが用いられている。
さらにテンプには高度な歩度調整が可能なジャイロマックス・テンプを採用。ヒゲゼンマイにはパテック フィリップが開発したSpiromax®ヒゲゼンマイを採用。これによって垂直姿勢における等時性が向上し、最高の計時精度が保証されている。
つまり「永久カレンダー 5327」とは、古典的な顔をした最先端のモデルなのである。
永久カレンダー
パテック フィリップの伝統に則り、シンプルさを極めたカラトラバ・ケースとゴールドの植字によるブレゲ数字を配置した自動巻きムーブメント搭載の永久カレンダー。カレンダーの表示は月、曜日、日付、閏年のすべてを針で表示する懐中時計時代を思わせる古典的意匠を採用。この18Kローズゴールドのモデルでは、アイヴォリーのラック塗装文字盤に段差を付けたインダイアルを配している。
■5327 ■39mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ
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「永久カレンダー 5327」には超薄型の自動巻き永久カレンダー・ムーブメント「Cal.240 Q」を搭載。 曜日、日付、月、閏年など、すべてのカレンダー表示を指針で示す古典的な機構を採用。ムーンフェイズ・インジケーター搭載。 ムーブメント外径27.5mm、厚さ3.88mm。部品総数275個。27石。パワーリザーブ最小38時間、最大48時間。ムーブメントに埋め込んだ22Kの偏心マイクロローターを装備。高精度なジャイロマックス・テンプを採用。21,600振動/時。SpiromaxRヒゲゼンマイ採用。パテック フィリップ・シール認定。
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