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YOSHIDAで体験する、高級時計への旅 ~第121回~

グレッシブ編集長が推薦する
パテック フィリップの名品6選

2021.1.15
■PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) ■ゴールデン・エリプス ■5738

文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano

※掲載商品の情報は変更される場合がありますのでご了承ください。

 世界最高峰のマニュファクチュールと呼ばれるスイスの名門PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)。その現行コレクションは実に多彩な表情を持っている。そこで今回はGressive(グレッシブ)の名畑編集長が、1994年以来、毎年欠かさず継続してきたスイスの時計見本市で出会ったパテック フィリップの名品を軸に、それにまつわる思い出を紹介。もちろん、これらの名品は東京・幡ヶ谷の名店YOSHIDA(ヨシダ)で実際に手にとって確かめることができる。

フォルムが際立つ「Ref.5738 ゴールデン・エリプス」
サイズ拡大で格段に増した存在感

 2018年のバーゼルワールド。パテック フィリップのブース内で行われたプレスカンファレンスで、ひときわ私の心を揺り動かしたのが、1968年に誕生した名作「ゴールデン・エリプス」の新作であった。それがエボニー・ブラック・ソレイユ仕上げのダイアルを備えたラージ・サイズの「Ref.5738 ゴールデン・エリプス」ローズゴールド・バージョンである。

「エリプス(Ellipse)」とは英語で「長円」という意味で、このモデルの典雅な長円フォルムを端的表現したネーミングである。1970年代、クォーツ時計の台頭により機械式時計の生産が停滞する中、直前の1968年に発売され、当時のパテック フィリップの代表モデルとなったのが「ゴールデン・エリプス」。正直、あの頃はあまり魅力を感じなかったが、サイズを拡大して蘇った最新モデルを見て、フォルムの美しさとシンプルな佇まいに心を奪われた。

 何よりブラックのダイアルとローズゴールドのケースのコンビネーションが秀逸。さらに小ぶりのリューズにセットされたブラック・オニキスのカボションがダイアルとマッチし、フォーマルな雰囲気を醸し出す。そして、もうひとつこのモデルの特徴が、ローズゴールドのフレームにエボニー・ブラック・ソレイユのセンターピースをはめ込んだカフリンクスが用意されていること。時計とセットで身につけることで、華麗なフォーマル・ファッションが完成するのだ。


■PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) ■ゴールデン・エリプス ■5738

ゴールデン・エリプス

ラグを廃した18Kローズゴールドのケースと艷やかなアリゲーターストラップが絶妙にマッチ。ケースサイズが34.5×39.5mmに拡大されたことで、従来モデルに比べ存在感が格段に増した。

■5738 ■34.5×39.5mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ

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ラウンド型の名品「Ref.5227 カラトラバ」
その骨太な魅力に心酔する

 パテック フィリップの腕時計を考える時、やはり永遠の定番と呼ばれる「カラトラバ」を忘れることはできない。それほど、古典的なラウンド・ケースの「カラトラバ」の美と伝統は、時計界の至宝とも呼ぶべき圧倒的な存在感を放っている。

 中でもここで紹介する「Ref.5227 カラトラバ」は、ブラックのダイアルに立体的な植字インデックスとシャープなドフィーヌ針を備えた男っぽさ溢れるモデル。実は生まれて始めて愛用した腕時計がブラック・ダイアルだったことで、黒文字盤の時計には格別の思い入れがあるが、このモデルを最初に見た時から、その端正なスタイルに秘めた骨太な魅力にノックダウンされてしまった。

 しかもラウンド型なら、ビジネスはもちろん、フォーマルからカジュアルまで、ありとあらゆるシーンとファッションに違和感なく収まるのも大きな魅力だ。

 そんな実用性も含め、男がひとつは持つべき腕時計として、このシンプルな「カラトラバ」をおすすめしたいと思うのである。


■PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) ■カラトラバ ■5227

カラトラバ

ラウンド型腕時計の古典であり、パテック フィリップの象徴ともいわれる「カラトラバ」。世代と時代を越えて愛されるエレガントな腕時計として、このコレクションにまさるものはないだろう。

■5227 ■39mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■3気圧防水 ■価格要お問い合わせ

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エナメル文字盤に秘めた複雑機構
シンプルを極めた「Ref.5078 ミニット・リピーター」

 グランド・コンプリケーションというと、たくさんのインダイアルと針を備えた、見るからに複雑なモデルを思い浮かべる。だが、パテック フィリップの「Ref.5078 ミニット・リピーター」は、そんな見た目の複雑さとは無縁の極めて簡素な表示を備えたモデルだ。

 では、なぜこれがグランド・コンプリケーションなのか? その答えはケース左側に設置された小さなレバーにある。これは時をゴング(時計に内蔵の鐘)で知らせるミニット・リピーターなのである。

 だから複雑な表示は皆無。このモデルの真の複雑さはダイアルではなく、優美なラウンド型のケースに収められたムーブメントCal.R 27 PSに集約されている。

 しかも、ダイアルは高温で焼成した本物のグラン・フー・エナメル(七宝)を採用し、ブレゲ数字と呼ばれるアラビア数字インデックスはホワイトゴールドを用いた立体的な植字仕上げ。極めてシンプルに見えるダイアルだが、そこには驚くほどの時間と手間がかけられている。


■PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) ■ミニット・リピーター ■5078

ミニット・リピーター

古典的なゴングで時を知らせる自動巻きミニット・リピーター5078モデル初のホワイトゴールド・バージョン。サファイアクリスタル製のケースバックに加え、通常のケースバックも付属する。

■5078 ■38mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■非防水(湿気・埃にのみ対処) ■価格要お問い合わせ

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緻密なエナメル文字盤のリピーター世界時計
「Ref.5531 ミニット・リピーター・ワールドタイム」

 私がスイス時計の本格的な取材を始めた1990年代半ば。話題のひとつはエナメル・ダイアルだった。エナメルとは英語で七宝のこと。フランス語ではエマイユというが、金属の板にガラス質の釉(うわぐすり)を塗り、800℃程度の高温で焼成したもの。我が国では実用品を琺瑯(ホーロー)、装飾品を七宝と呼び分けるが、欧米ではすべてエナメル(エマイユ)である。

 そのエナメルにはさまざまな技法がある。細い金線で枠を作り各色の釉を塗ったクロワゾネ(金線七宝)、金属に彫刻を施し上から釉を塗ったシャンルベやフランケ・エナメル、小さな筆で色を重ねてダイアルに絵を描く「ミニアチュール・エナメル(エナメル細密画)」など。

 パテック フィリップが世に送り出した世界初のワールドタイム機能搭載ミニット・リピーター「Ref.5531 ミニット・リピーター・ワールドタイム」には、ダイアル中央にレマン湖を見下ろすラヴォーの葡萄畑の眺望が描かれている。

 このダイアルの山の稜線は金線によるクロワゾネ技法が用いられるが、山肌と湖面にはミニアチュール・エナメルの技法を応用し、豊かな表情が与えられているのが大きな特徴となっている。


■PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) ■ミニット・リピーター ■5531

ミニット・リピーター

現地時刻を鐘の音で知らせる世界初のミニット・リピーター+ワールドタイム。ダイアル中央にはクロワゾネ七宝による細密画が描かれている。サファイアクリスタル・バックと通常のケースバックが付属。

■5531 ■40.2mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■非防水(湿気・埃にのみ対処) ■価格要お問い合わせ

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グリーンを軽やかに身にまとった
スポーティな「Ref.5168 アクアノート」

 カラー・ダイアルのブームは、何年か周期で巡ってくるが、ブルーが定番化した次にグリーンの時代が到来。パテック フィリップが2019年に発表した「Ref.5168 アクアノート」は、その流れを決定づけたエポックメイキングな名作である。

 通常、グリーンはメンズファッションで、もっとも着こなしが難しいとされるが、このモデルは落ち着いたカーキグリーンを採用することで幅広いコーディネイトが楽しめることが特徴となっている。

 ケースは18Kホワイトゴールド。八角形とラウンド型を融合したボリューム感溢れるフォルムにサテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせ多彩な表情を見せる。

 もちろん、スポーティなモデルだけにダイアルには立体的な植字の蓄光塗料入りインデックスを配置し、同じ蓄光塗料入り針とのコンビネーションで暗闇や夜間の視認性を確保している。


■PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) ■アクアノート ■5168

アクアノート

豊かな表情を見せるエンボス加工入りカーキグリーン・ダイアルを装備。12気圧の高い防水性でスポーティな場面でも安心して着用可能。ストラップはダイアルとマッチしたカーキグリーン。

■5168 ■42.2mm ■18Kホワイトゴールドケース ■ラバーストラップ ■自動巻き ■12気圧防水 ■価格要お問い合わせ

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歴史と伝統を体現する名品
「Ref.972/1 懐中時計」

 携帯時計の原点は懐中時計。だが、20世紀に入り主役が腕時計に取って代わられ、懐中時計の生産を停止したメーカーが大半だ。その中でパテック フィリップは熱心な時計愛好家のために、現在も懐中時計の生産を継続。これは長い歴史と伝統を誇るウォッチ・マニュファクチュールのあるべき姿として、改めて評価すべきだろう。

 そのパテック フィリップ製懐中時計で、私がおすすめするのが「Ref.972/1」。単なる懐古趣味ではなく、アラビア数字インデックスにアールデコ調のモダンな味を加え、12時位置にパワーリザーブ・インジケーターを備えることで洗練されたデザインと実用性を兼備している。

 パワーリザーブ表示はかつて日本で「巻印(まきじるし)」と呼ばれ、これを備えた懐中時計は非常に高級・高精度なものだった。「Ref.972/1」には、その伝統が脈々と受け継がれているのである。

 もちろん、現代のパテック フィリップ製品だから、このモデルにもパテック フィリップが定める精度と仕上げに関するすべての規準を満たしたパテック フィリップ・シールが付与されている。


■PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) ■懐中時計 ■972/1

懐中時計

古典的な懐中時計と思えるが、モダンなアラビア数字のインデックスや実用性に富むパワーリザーブ表示を搭載した洗練されたモデル。ケース径44mmは懐中時計としてはやや小ぶりで携帯性も良い。

■972/1 ■44mm ■18Kイエローゴールドケース ■手巻き ■非防水(湿気・埃にのみ対処)

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【 連載コラム 】

ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。

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