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YOSHIDAで体験する、高級時計への旅 ~第19回~

名機エル・プリメロの歴史に見るゼニスの真価

2019.2.1

取材・文:竹石祐三 / Report & Text:Yuzo Takeishi
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano

 ZENITH(ゼニス)は創業から150年以上という長い歴史において数々のエポックメイキングを打ち立ててきた。そのなかでも同ブランドを代表する偉業といえば、やはり、クロノグラフ・ムーブメントの名機「エル・プリメロ」の開発が挙げられるだろう。誕生から50年の節目を迎えた「エル・プリメロ」の開発背景、そして、このムーブメントを搭載した現行モデルのクリエイションを眺めてみると、YOSHIDA(ヨシダ)がゼニスをレコメンドし、また多くの顧客からも高い支持を獲得している理由が見えてくる。

「エル・プリメロ」がたどった苦難の歴史と高い信頼性

 1865年、若干22歳だったジョルジュ・ファーブル=ジャコによってスイスのル・ロックルで創業したゼニス。時計の開発から製造までを一貫して行う“マニュファクチュール”のコンセプトをこの当時すでに構築し、今なおル・ロックルの地を離れることなく時計製造を続けているブランドだ。これまでに取得した特許は300にも上り、開発されたムーブメントの数はなんと600超。さらに2333もの受賞記録を打ち立てているという圧倒的な数字を見れば、その凄さが理解できるだろう。

 なかでも「エル・プリメロ」の開発は、ゼニスの歴史における最もエポックメイキングな出来事である。「エル・プリメロ」は1969年に発表された世界初の高振動自動巻きクロノグラフ・ムーブメント。毎時3万6000回という振動数は1/10秒単位での計測を可能とするのみならず、重力や手首の動きといった外圧から生じる歩度を減少させて安定した精度を確保。しかも50時間ものパワーリザーブを実現し、歯車が摩耗しやすい懸念もクリアにすることで高い実用性と信頼性を獲得したのである。


1969年に誕生した世界初の高速振動自動巻きクロノグラフ・ムーブメント、Cal.3019 PHC。3万6000振動/時のハイビートに加え、日付表示、50時間のパワーリザーブも備えていた。

Cal.3019 PHCを搭載した最初の「エル・プリメロ」。インダイアルにはダークグレー、ライトグレー、ブルーを用いてデザインの調和を図るとともに、時刻の判読を容易にした。

 しかし、歴史は時に酷い仕打ちをする──。同じ年の12月、世界初のクオーツ・ムーブメントが発表され、すぐにクオーツの台頭は時計業界を危機に陥れていく。ゼニスも例外ではなかった。「エル・プリメロ」の発表から6年後の1975年、当時同社のオーナーだった米国のゼニス・ラジオ・コーポレーションより「機械式時計のすべての生産を停止し、機械や道具類は破棄せよ」という通達が下されたのだ。

 この時、「エル・プリメロ」の開発に携わってきたシャルル・ベルモ氏が大きな決断と行動を起こさなければ、今日の「エル・プリメロ」は存在しなかったかもしれない。彼は経営陣の決定が覆ることはないと分かると、実に150種類にもおよぶ工具類や部品、そして「エル・プリメロ」の製造工程を書き写し、工房内、別の建物の屋根裏に隠したのである。

 オーナーの交代によってそれらが再び陽の目を見るのはそれから9年後のこと。ゼニスをはじめ、時計業界は機械式時計の復興に向けて動き始めていた。


「エル・プリメロ」の開発に最初から携わったのみならず、同ムーブメント、さらにはゼニス復活の立役者となったシャルル・ベルモ氏。

「デファイ エル・プリメロ 21」の多彩な魅力

 1984年にシャルル・ベルモ氏の功績によって「エル・プリメロ」の生産が再開されてから30年以上。この間、ゼニスは多くのタイムピースを世に送り出してきた。なかでも話題を呼んだモデルのひとつに、2017年のバーゼルワールドで発表された「デファイ エル・プリメロ 21」が挙げられるだろう。

 最大の特徴は、Time Lab認定のクロノグラフ・ムーブメント「エル・プリメロ 9004」を搭載している点。1/100秒単位の計測を可能としており、クロノグラフ針も1秒でダイアルを1周する。そのスピーディかつダイナミックな動きは、発表から2年が経とうとしている現在でも十分に刺激的だ。

「デファイ エル・プリメロ 21」は新しいクロノグラフ・ムーブメントの動きがオープンダイアルから眺められるのみならず、クロノグラフ針の力強い動きも堪能できる。

「エル・プリメロ 9004」は時刻表示用とクロノグラフ用それぞれの脱進機を装備し、互いの動作を干渉しないように設計。

 YOSHIDAがゼニスの取り扱いをスタートしたのは3年ほど前。YOSHIDAオーナー・吉田勉と長年にわたって親交のあるジャン-クロード・ビバー氏(ゼニス取締役会会長)がウブロに加え、ゼニスとタグ・ホイヤーにも関わるようになったことがきっかけだったという。

 取り扱いを開始するやすぐさまゼニスは好評を得る。とりわけ「デファイ エル・プリメロ 21」はムーブメントの信頼性が高いことはもちろん、スポーティかつオープンワークのダイアルを備えながらもドレッシーな雰囲気を携えていることから高い支持を獲得。YOSHIDAでも「新しいものを生み出してくれる存在」であると、これから先の展開にも期待を寄せている。

 そんなビバー氏との深い関係性、そしてブランドに対する信頼から、YOSHIDAでは早くも店舗限定となる「デファイ エル・プリメロ 21 YOSHIDA SPECIAL」の販売をスタート。レギュラーモデルのケースがサテン仕上げであるのに対し、このモデルはケースの前面がポリッシュ仕上げというスペシャル仕様。その美しさは、ゼニスとYOSHIDAの輝かしい歴史を表しているかのようである。


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【連載】「YOSHIDAで体験する、高級時計への旅」とは?

正規時計代理店YOSHIDA(ヨシダ)と、時計専門サイトGressive(グレッシブ)が、4名の執筆陣とともに送る連載企画。「なぜ、人は腕時計に惹かれるのか?」という普遍的なテーマのもと、名だたる一流ブランドの魅力に触れ、奥深い高級時計の世界へと誘う。

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