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YOSHIDAで体験する、高級時計への旅 ~第61回~

「ビッグ・バン」デビューから約15年。
ウブロが世界的な好調を維持する理由とは?

2019.11.22
■HUBLOT(ウブロ) ■ビッグ・バン ウニコ ブルーマジック ■411.ES.5119.RX

文:田中克幸 / Text:Katsuyuki Tanaka
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano

 2005年のバーゼルワールドでデビューした「ビッグ・バン」は、それまでのHUBLOT(ウブロ)のDNAを継承する進化・発展系モデルとして当初より絶大な人気を誇っている。さらに2008年の「クラシック・フュージョン」、2014年「スピリット オブ ビッグ・バン」も同様だ。次々と繰り出す新手がすべて大当たりをすることは、スイス時計界でも奇跡に近い出来事。この秘密はどこにあるのか? ウブロ快進撃の秘密を探る。

世界の時計エンスージアストを魅了してやまない
絶好調のウブロを支える「4つのキーワード」

 2004年に経営体制が変わり第二創業期を迎えたウブロ。翌2005年発表の「ビッグ・バン」コレクション以降、その奇跡的な成功は途切れることなく早くも来年の2020年で15年を迎えようとしている。なぜウブロはかくも長い年月、世界中の時計愛好家の心を捉え続けるのか? その秘密は4つのキーワードで表現できると考える。


(1) アイコニック・デザインの創造。
(2) 巧みなパートナーシップ戦略。
(3) 時計会社の本道を歩む製造体制。
(4) 良好な時計店との信頼関係。


 まず(1)の「アイコニック・デザインの創造」から説明したい。現在は“異なる素材やアイデアの融合”という意味で“The Art of Fusion”というコンセプトが掲げられているが、2005年当初は“異素材の融合”という意味で“フュージョン”という言葉が使用された。

 これに基づいてスケッチされたクリエイティブが、ステンレススチール等によるマルチレイヤー構造、ラバーストラップ、そして決定的な要素がH型ビス留めのベゼルとケース両サイドに張り出されたリブである。

 この「ビッグ・バン」は現在、再ブームとなっている“高級ステンレススチール製スポーツウォッチ”に2005年という早い時期に着目し、時計界を牽引してきた功労賞モノの傑作機だ。思い出していただきたい、この数年間でどれだけの著名時計ブランドから、ラグジュアリー・ステンレススチール製スポーツウォッチが登場してきたか。

 ましてやスポーツウォッチは、レジャーとしてのマリンスポーツが世界に広まった1960年代からの定番モデルで、時計業界でも激戦区中の激戦区。相当な説得力がなければ時計エンスージアストの心に響かない。これには単なる外装デザインだけではなく、時計会社としての本道を行くマニュファクチュール体制の基盤あってのことだが、これについては後述する。

 ウブロの戦術が巧みなのは「ビッグ・バン」で強烈なインパクトを与えた3年後の2008年には、今度は打って変わってウブロ流スポーツドレスウォッチとも言える「クラシック・フュージョン」を発表したことだ。当モデルは1980年発表のウブロの原点である「クラシック」の正統進化系モデルであり、時計熟達者には懐かしさを、初級者には新鮮な驚きを与えた点であろう。しかも、45mm、42mm、38mm、33mmと4種類ものケースサイズを用意。これには「YOSHIDA 東京本店」店長の言葉を借りると、「隙のない緻密な商品構成」であり、そもそも「ウブロは格好良い時計を作る、という大前提で」顧客が来店し、彼らの「心を掴むモデルが必ず用意されている」ということにも繋がっている。これは冒頭に述べたアイコニック・デザインの創造が成功した証と言えよう。

 では次に巧みなパートナーシップについて解説したい。


サッカー、フェラーリ、ベルルッティ、アート…
時計愛好家の心が萌えるウブロの巧みなパートナーシップ戦略

 時計ブランドが自らの認知度とイメージアップ、またはマーケティング上の要請から採用する常套手段が、異業種とのパートナーシップ。しかしこれには落とし穴がある。パートナーシップとは、お互いがフィフティ・フィフティの対等関係でなければ真の意味で成立しない。これまでにも数多くの事例に接してきたが、どちらかが力負けしていることが多々見られた。その点、ウブロのパートナーシップ戦略は実に巧妙で、ほとんどの例で成功している。彼らの方法論は、誰しもモチベーションが上がるような舞台設定の大胆さと、将来性を見越した相手を選択する繊細さで成立しているように思える。

 ウブロのパートナーシップの舞台はサッカー、モータースポーツ、ファッション、アートに要約できるが、FIFAワールドカップ™・オフィシャルタイムキーパー就任のインパクトは強烈だ。まず2010年の第19回南アフリカ大会で初めてウブロのロゴがボードに記され、さらに、2014年の第20回ブラジル大会では、ビッグ・バンをデザインしたレフェリーボードがピッチに掲げられた。そして、FIFAとの関係は2018年のロシア大会でレフェリー専用コネクテッドウォッチを開発するまで進展。これは単なる“オフィシャル”の枠を超え、時計会社として大会運営に本格参加した成功例である。

 また2011年にはフェラーリとのパートナーシップを発表。特にイタリア・マラネッロのフェラーリ・デザインセンターが100%デザインした、2017年登場の複雑モデル「テクフレーム フェラーリ トゥールビヨン クロノグラフ カーボン」は、彼らの関係が表層的な“名義貸し”に止まらず、製造面での本格的な共同開発関係にまで発展していることを証明した。その熟成した関係を考えると、2019年バーゼルワールド発表の「クラシック・フュージョン フェラーリ GT」限定3モデルの存在価値は高い。「YOSHIDA 東京本店」店長はこのモデルを「時計自体にフェラーリのデザインが宿っている」と評価する。


  • ■HUBLOT(ウブロ) ■クラシック・フュージョン フェラーリ GT チタニウム ■526.NX.0124.VR
  • ■HUBLOT(ウブロ) ■クラシック・フュージョン フェラーリ GT チタニウム ■526.NX.0124.VR
  • ■HUBLOT(ウブロ) ■クラシック・フュージョン フェラーリ GT チタニウム ■526.NX.0124.VR

「クラシック フュージョン フェラーリGT」3モデルは、イタリア・マラネッロのフェラーリデザインセンターがデザインを担当し、ウブロの技術力をもってそのデザインを具現化し新しいタイムピースとして仕上げている。両者のコラボレーションは2011年より続くもので「ビッグ・バン フェラーリ」や複雑時計の「MP-05 ラ・フェラーリ」等の実績がある。ダイアルはフェラーリのフロントパネル、インデックスはスピードメーターの書体、針やクロノグラフのスタート/ストッププッシュボタン等にフェラーリレッドを用いる。ムーブメントはウブロでは2番目となる自社開発・製造のCal.HUB1280を搭載し、自動巻きローターはフェラーリのホイール部をイメージさせる仕様だ。

 目線をファッション分野に向けると、その代表格はやはりベルルッティだ。世界のシューエンスージアストから絶大な支持を得、靴の価値を別次元にまで高めたベルルッティに着目したセンスは相当なもの。金属加工技術の粋である時計と、自然由来の素材である革との組み合わせ(ストラップという月並みなレベルではなくダイアルに採用した点など)を決断した大胆さは、シューエンスージアストとウォッチエンスージアストがまさにフュージョンする現象も生み出した。

 さらにウブロはアートと時計との融合にも積極的で、その代表格が2017年より続く気鋭のフランス人アーティスト、リチャード・オーリンスキーとのコラボレーションである。このコラボレーションはオーリンスキーの創造に相当な触発となったらしく、2019年のバーゼルワールドでは、これまで45mmのケースを5mmもサイズダウンした40mmのケースサイズに加え、ダイアルまでもファセット構造を用いるなど新たな挑戦を試みている。このサイズダウンは彼自身の希望でもある。

 以上、ここまでウブロのパートナーシップの実績を読まれた方はすでにお気付きのことと思うが、その範囲やジャンルは多岐に渡るものの、根幹となるのはたったひとつのコンセプトだ。それが“The Art of Fusion=異なる素材やアイデアの融合”。ウブロの全創造力はこの言葉に集約され、現在も次なるFusionの創造過程にあることは間違いない。


ウブロの根幹を成す最大のキーワード、
それが15年間をかけたマニュファクチュールへの道

 2005年の「ビッグ・バン」のあまりにも鮮やかなデビュー、その後毎年のように発表される怒涛の新作群、さらに前述したパートナーシップの数々…。これまでのウブロの15年は、一見すると輝かしさばかりが目立つが、マーケティングやコンセプト先行の新興時計ブランドと決定的に異なる点は、この15年間、彼らは着々と計画的に真の自社一貫製造体制=マニュファクチュールの道を歩んできた点に尽きる。その上で、他の歴史の長い保守本道の時計ブランドとは異なる個性に一般の時計愛好家は魅かれるのだ。

 では、そのマニュファクチュールへの道のりを簡単に解説する。


●製造体制
 2009年10月、ジュネーブ湖畔の町ニヨンに本社工場を完成。内部に複雑時計機構の開発部門と、ケース等に採用される新素材開発部門を開設し、以降本格的な製造体制の牙城と成る。さらに2015年9月にはケース製造部門と、エボーシュ製造部門を集積させた第2工場をオープン。


●自社開発・製造ムーブメント
 本社工場完成の翌年となる2010年、初の完全自社開発製造クロノグラフムーブメント“UNICO”(ウニコ/スペイン語で“唯一の、類のない”の意)発表。これは高級クロノグラフムーブメントでは常識となっているコラムホイールを搭載し、ダイアル側にクロノグラフ機構が配列する設計のため、オープンワークダイアルのモデルでは精密な作動状況を確認できるという、時計通を唸らせる設計思想が背景に存在した。


●ケース素材開発その1
 ウニコ発表と同年の2010年、通常の5Nのゴールドよりさらに赤い色調を実現した18Kキングゴールド完成。さらに翌年にはスイス連邦工科大学ローザンヌ校との共同開発による“18Kマジックゴールド”を発表。これは純金と炭化ホウ素(セラミック)を数回の高温・高圧によって完成する融合合金で、一般的な18Kゴールドに比べて硬く傷つきにくい素材を実現。


●ケース素材開発その2
 2016年、極限の透明度を追求したサファイアクリスタル製の時計を発表。さらに翌2017年には、複雑な溶解法と不安定な結晶化プロセスのため極めて困難とされていた、一定量のカラーサファイアを均一色に製造する技術開発に成功した結果、ブルーサファイアが完成。さらに2019年にはイエローサファイアを発表する。


●ケース素材開発その3
 約4年間の研究期間を経て完成したカラーセラミック技術により、2018年、従来では困難とされてきた濃密で鮮明なレッドの発色のレッドセラミックが登場。これはセラミックの加圧と加熱焼結の融合により、顔料を焼成しないという革新的な方法により完成し、かつ従来の1200HV2より優れる1500HV1の硬度を確保したという(HV=ビッカース硬度を表す記号)。


 以上の他、複雑時計については「YOSHIDA 東京本店」店長の分析が最も的確であるのでここで紹介したい。

「見た目のインパクトは凄いですが、ウブロの複雑時計はトゥールビヨンやミニッツリピーターなど非常に伝統的なものです。しかし、保守的な伝統ブランドと比較すると“何かが違う”のです。例えばミニッツリピーターですが、その完成度は保守的なブランド以上のものがあります。大抵のリピーターは、その作動時にガバナーの音が聞こえてしまいます。これは純粋音ではなくどうしても雑音となって聞こえてしまいますね。しかしウブロのリピーターにはその雑音が聞こえません。実に純粋なリピーター音しか聞こえてきませんし、音の余韻が非常に長く残るのも特徴です」

 さらにこれらのリピーターやクロノグラフの実力を、「あまり誇示しない」ことがウブロの特徴だと店長は述べる。

 “能ある鷹は爪を隠す”、まさにこれがウブロの隠れた魅力であり実力である。その背景には、前述したマニュファクチュールとしての万全の体制が存在することを忘れてはならない。


“世界で唯一”の時計作りに応じる、
ウブロのスペシャリストとしての心意気

 最後は時計専門店との良好な信頼関係から、ウブロ快進撃の秘密を探りたい。

 日本はスイス時計会社にとって大変重要なマーケットであることは、1990年代から変わることはない。一時期、中国の購買力に圧倒されジャパンスルーを感じた時期もあったが、現在スイスと日本との関係は90年代の成長期から熟成期に入ったという印象だ。

 そのような中、スイスが日本の要望により日本限定品、つまり日本だけのリージョナルモデルを発表することは日常化している。しかし、多くの限定品はダイアルの色違いや、日本限定であることを示すケースバックの刻印等といった範囲に留まっており、我々としては簡単な“差し替え”感は否めない。ところがウブロはその姿勢が他社とかなり異なるのである。この件をYOSHIDAスペシャルで検証してみたい。

 まずYOSHIDAではスペシャルモデルをどのような仕様にするのか、彼らの基本はあくまでも「長く使えるもの」、一過性のバブリーな仕様は行わない主義を貫いている。そのため時計熟達者でなければ気づきにくい微妙な差をこれらのモデルに設定するが、これにウブロは応えるのだ。中には最初は「No」と言われたモデルが1~2年後には「Yes」となり完成品が届く場合もある。ウブロはこの間、検討に検討を重ね実現化に努力していたのだ。

 YOSHIDAスペシャルの一般モデルとの微妙な差は、ムーブメントのスケルトナイズ設計やプラチナをポリッシュするといった特注加工、「ビッグ・バン」のような多層構造のケースにおける特注素材の指定等が挙げられるが、いずれも製造する立場からすると面倒なことこの上ない。その上少数ロットなのだ。通常の関係であればここまで受け入れないと思われるが、ウブロはそれを真摯に受け止め実現する。もっともここまでの無理が効くのは、YOSHIDAが日本、否世界におけるトップレベルの有力店であるからである。

 このページで紹介するふたつのスペシャルモデルは、いずれも高度な設計・製造技術を必要とする複雑時計である。通常でも製造量が希少な複雑時計での、時計店からの特注に応じることに驚きを覚える。これは高い技術力の表れと見て良いと思うが、「ビッグ・バン ウニコ クロノグラフ トゥールビヨン パワーリザーブ」の注目点は、サテン仕上げのチタニウムケースとブラックセラミックベゼルに加え、ダイアルにサファイアクリスタルガラスを用いている点。メカニズムでは、ワンプッシュクロノグラフとトゥールビヨンの統合型だが、「ビッグ・バン」コレクションでの複雑系は2019年のカタログを見ると「ビッグ・バン トゥールビヨン 5デイ パワーリザーブ」だけで、当モデルと同機能搭載機種は見当たらない。

 またもうひとつの「ビッグ・バン トゥールビヨン カテドラル ミニッツリピーター」は、製品名どおりワンプッシュクロノグラフとトゥールビヨンに、カテドラル ミニッツリピーターまで装備する超弩級レベルの複雑モデル。これも前述したモデルと同様、2019年カタログには存在しない。

 これらスペシャルモデルは世界で唯一の並外れた希少な存在。オーダーするYOSHIDAのイメージ力にも驚くが、それを現実のものとするウブロの姿勢と技術力にも舌を巻く。

 2004年の第二創業期からウブロが熱狂的と言って良いほどの高い人気を世界中で維持している秘密のひとつには、他社には無い目を見張るような希少モデルを時計店と共に作るという、時計製造スペシャリストとしての心意気にも表れていると言えよう。


ウブロの「いま」を伝えるスペシャルウォッチ4選

【連載】「YOSHIDAで体験する、高級時計への旅」とは?

正規時計代理店YOSHIDA(ヨシダ)と、時計専門サイトGressive(グレッシブ)が、4名の執筆陣とともに送る連載企画。「なぜ、人は腕時計に惹かれるのか?」という普遍的なテーマのもと、名だたる一流ブランドの魅力に触れ、奥深い高級時計の世界へと誘う。

INFORMATION

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営業時間:10:00~20:00 年中無休(1月1日から1月3日までを除く)



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