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YOSHIDAで体験する、高級時計への旅 ~第51回~

時計をアートオブジェへと昇華した
オーリンスキー・コレクションの世界

2019.9.13
■HUBLOT(ウブロ) ■クラシック・フュージョン オーリンスキー チタニウム ■550.NS.1800.RX.ORL19

文:田中克幸 / Text:Katsuyuki Tanaka
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano

※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。

 HUBLOT(ウブロ)のコンセプト「The Art of Fusion(=異なる素材やアイデアの融合)」は、スポーツやファッションに留まらず、その創作領域をアートの世界まで広げている。2018年に発表された気鋭の現代美術家リチャード・オーリンスキーとのコラボレーションは、昨今のウブロでは極めてセンセーショナルな出来事であった。時計店YOSHIDA(ヨシダ)も注目する、斬新な発想で時計をアートオブジェへと進化させたコレクションの魅力を検証したい。

40mmケースで繰り広げられる光の饗宴
クラシック・フュージョン オーリンスキー

 2018年1月、ジュネーブ市内で開催されたウブロの新作発表会場で訪問者を迎えたのは、およそ2mもある一体の巨大なゴリラだった。

 その全身はブルーで覆われ、繊細かつ大胆なファセット加工が、会場の照明を反射して圧倒的な存在感を示していた。

 おそらくこの時が、日本の時計関係者に初のお目見えとなったフランスの現代アーティスト、リチャード・オーリンスキー氏(以下、敬称略)の作品「ワイルド・コング」である。

 ウブロとオーリンスキーとのコラボレーションは、すでに前年の2017年冬に「アートマイアミ(ArtMiami)」で発表されており、その時はコラボレーションモデル第1号として「アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー」が登場している(なお「アートマイアミ」とは、2019年の今年30周年を迎える国際的な現代アートフェアのこと)。

 オーリンスキーによれば、このパートナーシップは既知の友人であるウブロのジャン-クロード・ビバー会長による、CEOリカルド・グアダルーペ氏との引き合わせにより誕生した。彼はウブロのDNAを再解釈し、すでに完成させたデザインスケッチを携えてスイス・ニヨン本社のミーティングに参加したという(「REVOLUTION」2017年12月9日発表の記事より)。

 その後2018年、2019年と確実にコレクションを発表したウブロとオーリンスキーのコラボレーションモデルだが、その最大の特徴は、冒頭で紹介した「ワイルド・コング」のデザインコンセプトをそのまま時計に昇華させたことにある。


HUBLOT(ウブロ) ファセット構造

ファセット構造とは、細かな平面で構成される切子状の多面体構造を意味する。これにより「クラシック・フュージョン オーリンスキー」は、光の入射と反射角度で輝きと影が織り成す光のマジックのようなオブジェとなり、「ワイルド・コング」同様ウブロの時計も、もはや時計以上のアートオブジェへと驚くべき変貌を遂げた。

 さて、2019年のバーゼルの新作でまず話題となったのが、6種類も用意された「クラシック・フュージョン オーリンスキー」。注目点はオーリンスキー自らが希望した40mmのケースサイズと、ケースのみならずダイアルまでもファセット構造を用いた点である。これにより時計全体がきらめくオブジェとなり、ウブロの謳う「アートと時計製造の融合(フュージョン)」に成功した。

 従来の45mmより5mmも縮小化された40mmのケースサイズとは、つまり直径にして10%以上のミニマム化であり、ここに細かな多面体構造を完成させるにはデザインの再構築・ケース製造の再設計が必要である。さらにダイアルまでもファセット構造で仕上げることで、時計全体が「ワイルド・コング」と同様の、完全なオーリンスキーによる作品へと進化した。

「クラシック・フュージョン オーリンスキー」から登場した6種類の新作は、ノンパヴェ(未宝飾)の2タイプとパヴェ4タイプで構成される。前者はチタニウムとキングゴールドケース、後者はチタニウムとキングゴールドにランダムにパヴェダイヤが配された豪華を極めるフルパヴェ2タイプずつ計4タイプ用意。


気鋭の現代アーティスト、
リチャード・オーリンスキーとは?

 モータースポーツ界で今なお伝説であり続けるフェラーリ、世界のファッション・エンスージアストが熱狂的に支持するベルルッティなど、ウブロのパートナーとなるブランドや人物は幅広いジャンルから慎重に選ばれている。

 その中でも最近特に注目されているのがアート界。ウブロは傑出したアーティストとのコラボレーションで、時計の美的創造性をさらに追求する。これもウブロのコンセプト「The Art of Fusion(=異なる素材やアイデアの融合)」を実践した重要な活動だ。

 とりわけ2018年の発表以来、日本でも高い人気を誇っているのが、モダンアートの旗手と言われるリチャード・オーリンスキーとのコラボレーションである。

 では日本ではまだ馴染みの薄いリチャード・オーリンスキーとは、一体どのようなアーティストだろうか?

 リチャード・オーリンスキー、1966年フランス・パリ生まれ。現代アーティスト。「Born Wild©」をコンセプトに2004年より作品を発表、その作品は世界中の90のギャラリーで展示され、2011年以来、世界で最も売れているフランス人アーティストのトップ10にランキングされている(以上、Wikipediaより)。


HUBLOT(ウブロ) リチャード・オーリンスキー

1966年フランス・パリ生まれの現代アーティスト、リチャード・オーリンスキーの創作活動は2004年に始まる。「Born Wild©」をコンセプトとする彼の作品は、同国ドーヴィルなど開放的な環境で展示されている。2011年以来、世界で最も売れているフランス人アーティストのトップ10にランキング。

 彼の公式ホームページを解釈すると、動物が備える本質的な力(Violenceと記されている)を、アートの創造力によってポジティブな感情に変えるのが彼の狙い。その素材は“遠吠えの狼”“象”“コブラ”などの「力」をイメージさせる野生動物が多い。

 ウブロとのコラボレーションモデルではケースの多面体構造に始まり、そのクリエイティブは2019年にはダイアルまで伸長。ファセット・デザインによる時計はひとつのアートである。

 彼の手による時計を、ウブロCEOのリカルド・グアダルーペ氏は「時間を示してくれる彫刻」と呼び、一方のオーリンスキー氏は「斬新な素材を使用するウブロと、ポップアートにインスパイアされた私自身の鮮やかな色彩の世界との融合」と自己分析する。

 冒険とも思える新たな時計創造に挑戦した両者だが、高級時計においては保守的な購買層が多い日本での反応が注目されたが、これが想像以上の高い評価で迎えられている。


HUBLOT(ウブロ) ワイルド・コング

コンセプト「Born Wild©」から創造された代表作が「ワイルド・コング」。全身を覆うファセット加工により、光の入射・反射の効果で瞬時に表情を変化させていく動的なオブジェとなる。動物が備える本質的な力を、アート表現によりポジティブな志向へ変化させるのが彼の狙い。

クロノグラフやトゥールビヨンまで及ぶ
オーリンスキーの斬新な創作世界

 2019年の新作は前述した6タイプの「クラシック・フュージョン オーリンスキー」だけではない。注目すべき新作の双璧を成すもうひとつが、日本限定版の「アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー チタニウム ホワイト」である。

 今回初となる日本限定モデルはチタニウムをケースとベゼルに採用し、ホワイトアリゲーター×ブラックラバーストラップという仕様。全体に透明感のある潔い白色の上質な質感が、サファイアクリスタルのダイアルから覗く、ムーブメントの重厚な素材の色と好対照を成し清潔感溢れる逸品に完成。

 ケースサイズは45mm、もちろんオーリンスキー・デザインのファセット加工の陰影のある光のきらめきが、単なる時計以上のオブジェとなっている。日本限定でしかもわずか100本という製造本数は、世界中の愛好家からの注目も必至と思われる。


■HUBLOT(ウブロ) ■アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー チタニウム ホワイト ■525.NX.0127.LR.JORL19

アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー チタニウム ホワイト

オーリンスキーモデルでは初の日本限定版。ファセット加工の施された清廉なチタニウム製ケースとベゼルと、クロノグラフムーブメントが好対照を成す。ベゼルのファセットはちょうど12時間を区切るかのように12面で構成。世界の時計ファンからも注目必至だ。
■525.NX.0127.LR.JORL19 ■45mm ■チタニウムケース ■ホワイトアリゲーター×ブラックラバーストラップ ■自動巻きクロノグラフ ■5気圧(50m)防水 ■日本限定100本

 このほかアエロ・フュージョンでは、ウブロお得意のセラミック技術とオーリンスキーのデザインが融合した「アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー ブラックマジック」も、チタニウムやゴールドとは異なる光と影の共演が楽しめる。

 また「クラシック・フュージョン」と「アエロ・フュージョン クロノグラフ」以外でのオーリンスキー・コラボレーションモデルでは、時計ファンならば是非複雑モデルにも注目してほしい。


■HUBLOT(ウブロ) ■アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー ブラックマジック ■525.CS.0170.RX.ORL19

アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー ブラックマジック

ウブロが得意とするセラミック技術によるブラックケースモデル。同色のムーブメントと完全にマッチし、精悍なクロノグラフに仕上がった。セラミックケースのファセット加工は、プラチナやゴールドケースとは異なる印象を持ち独自性を発揮している。
■525.CS.0170.RX.ORL19 ■45mm ■ブラックセラミックケース ■ブラックラバーストラップ ■自動巻きスケルトンクロノグラフ ■5気圧(50m)防水 ■世界限定200本

「クラシック・フュージョン トゥールビヨン 5デイ パワーリザーブ オーリンスキー サファイア」は、約5日間のパワーリザーブ機能を搭載し、直線と曲線が巧みに組み合わされたスケルトン加工のトゥールビヨン。ファセット加工ケースに包まれたトゥールビヨン機構は、他の同機構モデルとは一線を画す特別な存在となっている。このトゥールビヨン搭載モデルにはキングゴールドとブラックマジックも用意されている。


■HUBLOT(ウブロ) ■クラシック・フュージョン トゥールビヨン 5デイ パワーリザーブ オーリンスキー サファイア ■505.JX.6910.RT.ORL19

クラシック・フュージョン トゥールビヨン 5デイ パワーリザーブ オーリンスキー サファイア

直線的なブリッジを特徴とするウブロのスケルトントゥールビヨン。高い透明度を誇るサファイアクリスタルとマッチし、さらにファセット加工により時計全体が光輝くオブジェへと変貌。古典的なトゥールビヨンを全く新しいモダンアートへと進化させた稀有な例。
■505.JX.6910.RT.ORL19 ■45mm ■サファイアクリスタルケース ■スケルトンストラップ ■手巻きスケルトントゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■世界限定30本

 以上、現在のウブロ・コレクションの中で最も注目されているひとつ、オーリンスキーの魅力をできるだけ詳細に解説してきたが、最後にお伝えしたいのは、ぜひこれらのモデルを店頭で実際に手に取っていただきたいということだ。

 確かにウブロやリチャード・オーリンスキーの公式ホームページでも、各アングルから撮影された動画を確認することは可能だ。しかし、実際に手に取り光の下にかざし自分の目で見なければ、このコレクションの吸い込まれてしまうような、ほとんど魔力と言って良いほどの魅力を体験することはできない。

 それほど近年の時計では傑出した存在であるのが、ウブロとオーリンスキーが創造したコレボレーションモデルなのである。

ウブロ×リチャード・オーリンスキーの注目モデル4選

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