グランドセイコーの2019年新作に見るデザインの品格
取材・文:竹石祐三 / Report & Text:Yuzo Takeishi
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
取材・文:竹石祐三 / Report & Text:Yuzo Takeishi
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Grand Seiko(グランドセイコー)は、YOSHIDA(ヨシダ)における柱のブランドのひとつ。1960年にブランドがデビューしてから今日まで取り扱いを続けているのみならず、何年にもわたってトップディーラーとしてのポジションを築き上げるなど、その関係は長く、深い。それゆえにYOSHIDAは毎年、同ブランドの新モデルを注視してきた。そのグランドセイコーが、2019年のバーゼルワールドで発表したのは、独自機構「スプリングドライブ」の誕生20周年を記念するモデル。このスペシャルな新作には、YOSHIDAも発売前から大きな期待を寄せている。
1960年に誕生したグランドセイコーは、その当時から高品質と高精度を体現してきたブランドだ。一時、クオーツの台頭によってブランドは休眠状態となるが、1988年にクオーツムーブメントを搭載して復活。10年後の1998年には、完全新規設計のキャリバー9S55を搭載して機械式モデルを甦らせた。そしてもうひとつ。1999年にはグランドセイコーのその後のラインナップに欠かせない新たな機構が発表された。“第3のムーブメント”と呼ばれる「スプリングドライブ」である。
1977年に構想が上がり、実に20年以上の歳月をかけて実用化を果たしたスプリングドライブ。それは、ぜんまいを動力源としながらも、水晶振動子が歯車の回転速度をコントロールし、クオーツと同等の高精度を実現するセイコーの独自機構だ。とはいえ、1999年の時点で製品化を果たしたのはセイコーとクレドールの2ブランド。グランドセイコーへの実装はそれから5年を待たなければならなかった。グランドセイコーに搭載するにあたっては、高効率の自動巻き機構と72時間パワーリザーブの実現という、さらなる高機能化が不可欠と判断したためだ。しかしながらこの機能改善よって、以後、スプリングドライブムーブメント「キャリバー9R」はグランドセイコーのラインナップにおける重要なピースとなる。
1999年に登場したスプリングドライブ。その初代モデルは、セイコーとクレドールから発売され、価格はセイコーのステンレススチールケース(写真)で25万円、クレドールで100万円だった。
2019年はスプリングドライブが誕生してから20周年の節目にあたる。これに伴い、グランドセイコーはふたつのコレクションからアニバーサリーモデルを発表した。そのひとつが「エレガンスコレクション スプリングドライブ20周年記念モデル」だ。
グランドセイコーならではのメリハリの効いたデザインと流麗なフォルムを融合した佇まいに加え、18Kイエローゴールドケースを採用した「SBGY002」のダイアルには、風紋が刻まれた雪を想起させる、通称“雪白(ゆきしろ)”と呼ばれる仕上げを採用。また、ステンレススチールモデルの「SBGY003」には、ダイアルに木漏れ日をイメージさせる放射状のパターンが施されており、光のあたる角度によって力強さであったり穏やかさであったりと、違った表情を見せてくれる。
両モデルともダイアル上で表現しているのは“日本独自の自然の美”。それは、スプリングドライブモデルの製造拠点である信州の景色を彷彿とさせるものであり、エレガンスコレクションをさらに上品な雰囲気へと昇華させている。いずれも、シンプルで優美な腕時計を好む人たちの琴線に触れる、まさにグランドセイコー“らしい”逸品と言えるだろう。
グランドセイコー エレガンスコレクション
スプリングドライブ20周年記念モデル SBGY002
18Kイエローゴールドケースに、雪白仕上げを施したダイアルを組み合わせた優美な1本。それは、スプリングドライブの製造拠点「信州 時の匠工房」の冬景色を思わせる。
■38.5mm ■18Kイエローゴールドケース ■クロコダイルストラップ ■スプリングドライブ 手巻き ■日常生活用防水 ■¥4,015,000(税込)
グランドセイコー エレガンスコレクション
スプリングドライブ20周年記念モデル SBGY003
ステンレススチールモデルのダイアルに施されているのは、美しく仕上げられた放射状のパターン。光のあたる角度によってやさしい陰影をもたらしてくれる。
■38.5mm ■ステンレススチールケース ■クロコダイルストラップ ■スプリングドライブ 手巻き ■日常生活用防水
もうひとつが「スポーツコレクション スプリングドライブ20周年記念限定モデル」。スポーツコレクションは、グランドセイコーらしい精悍な雰囲気を継承しつつも躍動感のあるデザインを付与した、その名のとおりのスポーティルックが特徴だ。なかでもこのアニバーサリーモデルは、さらに攻撃的な姿勢を感じさせる、全く新しい意匠に仕上げられている。
グランドセイコーの象徴といえば“獅子の紋章”だ。1960年のファーストモデル誕生時、「最高峰の腕時計を目指す」という意志を込めて付けられ、今もしっかりと刻まれるブランドのアイコンだが、スプリングドライブ20周年記念モデルではこの紋章を刻印するのみならず、腕時計のデザインにも応用しているのだ。
最も特徴的なのがラグ。従来のグランドセイコーよりもさらにエッジの効いたラグは、獅子の爪にインスパイアされたものだという。ザラツ研磨によってシャープなシルエットを生み出しているばかりか、ヘアラインの仕上げを施すことによって時計の存在感がぐっと増している。また、ダイアルには独特な型打ちのパターンが用いられているが、こちらは獅子のたてがみを表現したもの。かつてないマッシブなデザインは、新たなファンはもちろん、グランドセイコーをよく知る人々をも振り向かせる強烈なインパクトを持っている。
グランドセイコー スポーツコレクション
スプリングドライブ20周年記念限定モデル SBGC231
クロノグラフとGMT機能を搭載。マッシブなデザインだが、ケース素材にはブライトチタンを採用し、快適な装着感を実現している。ダイアルにはブラウンの型打ち模様が施されている。
■44.5mm ■ブライトチタンケース&ブレスレット ■スプリングドライブ 自動巻き ■20気圧防水
グランドセイコー スポーツコレクション
スプリングドライブ20周年記念限定モデル SBGA403
ダイアルにイエローブラウンの型打ち模様を施したこのモデルは、シンプルなデイト付き三針のため、ケースの存在感が一層際立っている印象だ。
■44.5mm ■ブライトチタンケース&ブレスレット ■スプリングドライブ 自動巻き ■20気圧防水
グランドセイコーのトップディーラーであるYOSHIDAでは、2019年の新モデルに対し、「この節目のタイミングでスプリングドライブに特化したモデルが出ることは、私たちもお客様に対して改めてその魅力をお伝えしやすくなりました」と説明する。しかも「スポーツコレクション スプリングドライブ20周年記念限定モデル」における、従来のグランドセイコーとは全く違うデザインは、YOSHIDAにとっても新たな魅力を感じたようだ。
「もちろん一方で、グランドセイコーは、あの、シンプルでエレガントなデザインがいいと考える方も多いと思います。そういったお客様には『エレガンスコレクション スプリングドライブ20周年記念モデル』をお勧めします。というのも、このコレクションに搭載されているのは、グランドセイコーでは8Days以来となる手巻きのスプリングドライブ。すでに自動巻きのスプリングドライブモデルを持っていらっしゃる方も、一度手に取ってみてはいかがでしょうか?」
グランドセイコー ヘリテージコレクション SBGA211
ケースとブレスレットにブライトチタンを採用し、軽快な着け心地を堪能できる。真っ白のダイアルとブライトチタンケースとのコントラストが美しい。
■41mm ■ブライトチタンケース&ブレスレット ■スプリングドライブ 自動巻き ■10気圧防水 ■¥902,000(税込)
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グランドセイコー ヘリテージコレクション SBGA373
1967年に発表された「44GS」に始まるグランドセイコーのデザイン理念「セイコースタイル」を現代解釈した、端正なデザインが特徴。ゴールドダイアル上を動くブルースチール秒針が実にエレガントだ。
■40mm ■ステンレススチールケース&ブレスレット ■スプリングドライブ 自動巻き ■10気圧防水 ■¥660,000(税込)
商品詳細・お問い合わせはこちら >>
グランドセイコー ヘリテージコレクション SBGA375
44GS現代デザインによる端正なフォルムに、ダイアルには限りなく黒に近いミッドナイトブルーを採用し、落ち着いた雰囲気のモデルに仕上がっている。
■40mm ■ステンレススチールケース&ブレスレット ■スプリングドライブ 自動巻き ■10気圧防水 ■¥737,000(税込)
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ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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