YOSHIDAで体験する、高級時計への旅 ~第197回~

薄型vs.超複雑。2022年のブルガリの新作を追え

2022.7.1
■BVLGARI(ブルガリ) ■オクト ローマ ブルー カリヨン トゥールビヨン / オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT ■103627 / 103661

文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano

 ローマ発祥のジュエラーであり、生活を豊かに彩るラグジュアリーメゾンとして知られるブルガリ(BVLGARI)だが、2012年に八角形ケースの「オクト」コレクションがスタートし、さらに「薄型ウォッチ」という個性を完成させたことで、高級時計の世界でも確固たる地位を築いた。今やブルガリの時計は、美しくてハイエンドであるのは当たり前。そこに卓越した技巧というスパイスを加えることで、他にはない時計を作り出した。そこで今回は、薄型、もしくは超複雑機構に焦点を当て、2022年の新作に迫りたい。

“薄さ”に表現力を加えた
「オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT」

 パーツが増えるだけでなく、レバー類を幾重にも重ねる必要があるクロノグラフは、基本的に薄型化するのは困難だが、そんな常識を覆したのがブルガリだ。厚さが3.3mmしかない自社製クロノグラフムーブメントのCal.BVL318を搭載する「オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT」は、2019年にデビューした。

 この時計が優れているのは、ケース厚は8.75mmしかない“最薄クロノグラフ”であるだけでなく、実用性も失っていないのだ。例えば動力ゼンマイの巻き上げは、ムーブメントの外縁でローターを回転させる「ペリフェラルローター」を採用しているので、持続時間とトルクの維持の両面でユーザーメリットは大きい。さらに3時位置には24時間式のGMT針を備えており、その操作は9時位置のプッシュボタンで行う。クロノグラフ操作のプッシュボタンもケースデザインと統合されており、八角形ケースのプロポーションを一切崩していないのも見事だ。


■BVLGARI(ブルガリ) ■オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT ■103661

8.75mmのケース厚でクロノグラフに薄型ケースの記録を更新。

 この薄くて美しく、そして機能的な「オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT」に、今年、ステンレススチールモデルが登場した。これまでのチタンモデルは軽くて着用感に優れる一方で、素材特有のグレーメタリックな色合いも個性となっていた。それがステンレススチールになると、より白みが増し、クリーンな印象が強まる。さらに加工性も高いので、ケースやブレスレットの面に応じてサテン仕上げとポリッシュ仕上げを使い分け、メリハリのある輝きを強めている。

 時計としての完成度が高いからこそ、素材によって新しい個性を引き出せる。それも「オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT」の実力である。


■BVLGARI(ブルガリ) ■オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT ■103661

オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT

ダイヤルに施した縦方向の筋目仕上げも、SSモデルで新採用。モダンな印象に仕上げる。

■103661 ■43mm ■ステンレススチールケース&ブレスレット ■自動巻き ■100m防水 ■¥2,112,000(税込)

常識に挑んだ「オクト フィニッシモ ミニッツ リピーター」

 基本的には、“薄いは偉い”とされている高級機械式時計の世界だが、そこに当てはまらないモデルもある。それが「ミニッツリピーター」などのチャイミングウォッチだ。

 ハンマーとゴングを使って音を奏でて現在時刻を知らせるチャイム機構は、何よりも音色が重要であり、その考え方は楽器に近い。美しい音を大きく響かせるためには、音を反響・共鳴させるスペースが必要だが、薄型ケースはぎりぎりの設計であるためケース内にムーブメントがぎっちり詰め込まれている。つまり音を響かせる余地がないのだ。

 薄型か、それとも音の響きか? 二律背反する要素を、大胆な発想で解決したのが、搭載するCal.BVL362のムーブメント厚が3.12mm、ケースの厚さがわずか6.61mmという極薄の「オクト フィニッシモ ミニッツ リピーター」だ。


■BVLGARI(ブルガリ) ■オクト フィニッシモ ミニッツ リピーター ■103669

極薄のムーブメントCal.BVL362の開発によって、6.61mmの超薄型ケースが実現。

 ポイントとなるのは、カットアウトしたダイヤルのインデックス。ここに穴をあけることで音をダイヤル側のスペースで反響させるというのだ。このモデルは2016年にデビューし、“世界最薄のチャイミングウォッチ”となった。薄さも音も犠牲にすることのない大胆な発想力は、今見ても新鮮である。

 今年はケース素材にマット仕上げのチタンを使用し、ダイヤルやストラップはマットブルー色に。シックな色合いにすることで、さらにモダンな個性を際立たせている。


■BVLGARI(ブルガリ) ■オクト フィニッシモ ミニッツ リピーター ■103669

オクト フィニッシモ ミニッツ リピーター

9時位置のプッシュボタンでチャイム機能を起動させる。そのデザインもハイレベル。

■103669 ■40mm ■チタニウムケース ■FKM製ラバーストラップ ■手巻き ■30m防水 ■¥23,254,000(税込)予定価格

その音に耳を澄ませたい
「オクト ローマ ブルー カリヨン トゥールビヨン」

 三大複雑機構と呼ばれる「永久カレンダー」「トゥールビヨン」「チャイム機構」の中で、目覚ましい進化を遂げているのが「チャイム機構」である。その進化の方向は、“美しい音を奏でる”という楽器的な目的であるため、機構の進化にとどまらず、チャイムやゴングの素材や形状、そして音の反響方法など、あらゆる可能性が検討されている。しかも価値基準が“美しい音色”という感性的なところに置かれているので、どこまで進化しても、どこかに温かみがある。それも時計愛好家を惹きつける価値になっている。

 ブルガリは2000年に、チャイム機構を得意としていた技巧派時計工房を傘下に収めており、それ以降、様々なチャイミングウォッチを製作してきた。「オクト ローマ ブルー カリヨン トゥールビヨン」は、3個以上のハンマー&ゴングを搭載する“カリヨン”と呼ばれるタイプのミニッツリピーターで、時間を「ド」、15分を「ミ・レ・ド」の音、分を「ミ」の音で奏でる。


■BVLGARI(ブルガリ) ■オクト ローマ ブルー カリヨン トゥールビヨン ■103627

スケルトン化で楽器のような音響を追求したデザイン。

 機構としてはかなり複雑で、音はエレガントだが、時計自体のデザインは極めてモダン。やや柔らかなカーブを描く八角形ケースの「オクト ローマ」をべースに、搭載ムーブメントはCal.BVL428。音の響きを最大化するために、ケースサイズは径が44mmで厚さが12.83mmやや大き目に設計している。そしてムーブメントもダイヤルもスケルトン化して、音を豊かに響かせるのだ。ここまでくると、もはやモダンデザインの楽器といえよう。そのメカニズムの美しさも含め、幸せな時を刻むために存在している。


■BVLGARI(ブルガリ) ■オクト ローマ ブルー カリヨン トゥールビヨン ■103627

オクト ローマ ブルー カリヨン トゥールビヨン

6時位置にはトゥールビヨンが収まり、美しく時を刻む。

■103627 ■44mm ■プラチナケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き ■30m防水 ■世界限定30本 ■¥38,170,000(税込)



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