永遠の都で生まれた、永遠を宿す
「オクト フィニッシモ 宮島達男 日本限定モデル」
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
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時計愛好家にとってブルガリ(BVLGARI)は、薄型技巧を極めた実力派ブランドという印象が強くなっているだろう。事実、ここ数年で7つの薄型世界記録を達成し、その一方でカリヨンタイプのミニッツリピーターを製作するなど、ハイコンプリケーション技術は円熟味を増している。しかしブルガリは、やはりラグジュアリーメゾンである。今回紹介する「オクト フィニッシモ 宮島達男 日本限定モデル」は、美しい時を紡いできたブルガリの素顔に触れる時計だ。
ブルガリの発祥の地ローマは、永遠の都と呼ばれる。多くの歴史の舞台となり、その足跡を今に伝える遺跡がいたるところにあるローマを旅すると、この地で育まれた文化がいかに偉大であったかがわかる。そしてブルガリもまた、ローマの文化の影響を強く受けている。
例えばアイコンモデルの「オクト」は、オクタゴン=八角形のケースデザインが特徴だが、これはローマの古い建築物によく用いられているモチーフである。しかもジュエラーとして培ってきた美意識を細部に取り入れており、ケースは多面カットになっている。ブルガリの魂は細部に宿るのだ。
こういった魂のこもった時計作りを行っていることもあって、ブルガリはアーティストからの支持も厚い。このモデル「オクト フィニッシモ 宮島達男 日本限定モデル」も、ブルガリの感性が響き合う時計だ。
宮島達男。現代美術家。1986年、東京藝術大学大学院修了。1988年にヴェネツィア・ビエンナーレ、新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催。世界30カ国250か所以上で作品を発表している。1997年 ジュネーブ大学コンペティション優勝。1998年 第5回日本現代芸術振興賞受賞。1998年 ロンドン芸術大学名誉博士授与2006-2016年 東北芸術工科大学副学長。 2012-2016年 京都造形芸術大学副学長。代表作に「メガ・デス」など。また、長崎で被爆した柿の木2世を 世界の子どもたちに育ててもらう活動、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」も推進している。
今回、ブルガリがコラボレーションを依頼したのは、現代美術家の宮島達男氏だ。彼は1987~88年ごろに、“それは変化し続ける”、“それはあらゆるものと関係を結ぶ”、“それは永遠に続く”という三つのコンセプトを考え、それを表現するためにLEDのデジタルカウンターの表示機を使った作品を発表し始める。複数のデジタルカウンターは、それぞれに異なるスピードで、1から9までカウントし、0にはならずにふっと消えて、再び1からカウントを始める。それはまるで地球上で永遠に繰り返される生と死、その再生を見ているようだ。
「腕時計をデザインするにあたっては、“時と共に生きる”とは一体どういうことなのかと考えた」という宮島氏は、ブルガリの時計の精巧さに驚いたという。そして八角形ケースに込められた哲学や小宇宙のように精密な機械式ムーブメントの世界、そして生と死の象徴たる時間が刻まれるものを身につけて歩くのはどういうことなのか? そんなコンセプチュアルな部分から、発想を広げていった。
スモールセコンドのモデルの文字盤上の「8」のデジタル数字は、光の加減で見え方が変わる。
最終的にたどり着いたのは、ダイヤルの上に、彼の作品の象徴たる7セグメントのデジタル数字を配するというもの。ダイヤルカラーと近いトーンの色にしているためあまり数字は目立たないが、時計を傾けるとその瞬間に、ぱっと数字が目に飛び込んでくる。
スモールセコンドのモデルは、数字と秒針の位置のバランス関係が絶妙だ。そしてミニッツリピーターモデルは、デジタル数字をカットアウトすることで、ハンマーとゴングが発する音をダイヤル側にも共鳴させ、美しい音を響かせることに成功している。美しい時計とアート作品の世界観、そして時計の機能性を損なうことなく融合させたのは、ブルガリ ウォッチ デザイン センターのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニの手腕。宮島さんはファブリツィオに全幅の信頼を置いており、コロナ禍で対面での打ち合わせが難しい状況であっても、プロジェクトは円滑に進んだという。
世界最薄のミニッツリピータームーブメントCal.BVL362。
「数字は自然界には存在しない。しかし人間は、数字によって時間や空間を意識してきた。イギリスの詩人、ウィリアム・ブレイクの詩に、“一粒の砂に世界を見て、一輪の花に天を見る。汝の掌に無限を捉え、一時の中に永遠を見よ”という一節があります。この詩のように、自分の腕の中に無限が見える。そんな腕時計になったらうれしい」
ブルガリの時計は精密で複雑だが、なによりも美しい。その感性が世界的アーティストと響き合うのだ。
オクト フィニッシモ 宮島達男 日本限定モデル
マットな質感のチタニウムケースの厚みは僅か5mm。チタニウム製のダイヤルにレーザー加工によって数字の“8”を描いた。
■103569 ■40mm ■チタニウムケース&ブレスレット(サンドブラスト加工) ■自動巻き ■30m防水 ■日本限定120本
オクト フィニッシモ 宮島達男 日本限定モデル
硬質なセラミックケースでありながら、厚さ5.5mmの薄型に仕上げた。ヘアラインとポリッシュで磨き分けており、メリハリを利かせている。
■103563 ■40mm ■ブラックセラミックケース&ブレスレット ■自動巻き ■30m防水 ■日本限定120本
オクト フィニッシモ ミニッツリピーター 宮島達男 日本限定モデル
厚さ3.12mmという世界最薄のミニッツリピータームーブメントCal.BVL362を搭載。リューズに反対側にミニッツリピーター機構を動かすプッシュボタンを備えるなど、シンメトリーな構成も美しい。
■103568 ■40mm ■チタニウムケース&ブレスレット(サンドブラスト加工) ■手巻き ■50m防水 ■日本限定3本
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ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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