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YOSHIDAで体験する、高級時計への旅 ~第184回~

独創の哲学と高度な技術で
個性を確立した伝説のブランド「ボヴェ」

2022.4.1
■BOVET(ボヴェ) ■フルリエ ナインティーンサーティ スティール ターコイズ ギョーシェ ■NTS0054

文:名畑政治 / Text:Masaharu Nabata
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano

※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。

 19世紀に誕生し、中国向け懐中時計で名声を確立した伝説の時計ブランド「ボヴェ」。1990年に復活して以降、他とは一線を画す個性的な時計作りで独自のポジションを獲得した。そのボヴェの取り扱いを開始させたのが東京の名店として知られるYOSHIDA(ヨシダ)。この特集では、世界の時計エンスージアストが注目するボヴェの歩みと、ブランドを代表する注目のモデルにスポットを当てる。

ポケットウォッチを彷彿とさせる
マニュファクチュール・ボヴェの基幹コレクション

「時計の谷」と呼ばれるスイスのヴァル・ド・トラヴェール(トラヴェール渓谷)。その拠点であるフルリエに生まれたエドワール・ボヴェこそが「ボヴェ」の創業者である。

 1797年、フルリエで時計師の家に生まれたエドワールは、時計師の見習い期間を終えた1814年、兄弟と共にイギリス・ロンドンへ渡り貿易商に雇われる。その4年後、彼は時計を携えて中国の広東へ向かい、高額での売却に成功しビジネスの才能を開花させた。

 この成功を足がかりに1822年、会社を設立。フルリエ在住の時計師である弟が時計を作り、ロンドン経由で中国に輸出するビジネスを開始し大成功を収める。1830年、エドワールはフルリエに戻り、1840年に改めて「ボヴェ兄弟社」を設立。だが20世紀に入ると1930年代の世界恐慌などの打撃を受け、やがて生産が途絶えた。

 だが1990年、ボヴェの過去の商標と権利をすべて引き継いだ「ボヴェ・フルリエ」が発足。1997年には新作時計を発表し、かつての中国向け時計を思わせる華麗な仕上げを施した個性的なタイムピースを発表し、見事な復活を遂げた。

 2001年、新生ボヴェの出資者であったパスカル・ラフィ氏が全権利を取得しオーナーに就任し、ボヴェを自社一貫生産の「マニュファクチュール」へ進化させ、独自の哲学と高度な技術を駆使した独創的なタイムピースを次々に生み出している。

 ここで紹介する「フルリエ ナインティーンサーティ」は、1930年代のヴィンテージな懐中時計にインスパイアされ、2015年に発表されたコレクション。


■BOVET(ボヴェ) ■フルリエ ナインティーンサーティ スティール ターコイズ ギョーシェ ■NTS0054

金属製の文字盤に緻密なギョーシェ模様を刻み、ターコイズブルーの透明ラッカーを幾層にも塗り重ねた美しいダイアルを特徴とする「NTS0054 フルリエ ナインティーンサーティ スティール ターコイズ ギョーシェ」。

 ムーブメントはボヴェが自社で開発から生産までを行うマニュファクチュール・キャリバー。懐中時計を思わせるケースと、ギューシェ装飾を施し鮮やかなラッカーで仕上げられたダイアルなど、さまざまな特徴を備える基幹コレクションとなっている。


■BOVET(ボヴェ) ■フルリエ ナインティーンサーティ スティール ターコイズ ギョーシェ ■NTS0054

フルリエ ナインティーンサーティ スティール ターコイズ ギョーシェ

小型の懐中時計を変換した古(いにしえ)の腕時計を思わせるクラシカルな逸品。ダイアルは緻密なギョーシェ彫りを施しターコイズカラーのラッカーで仕上げたつややかな質感が特徴。手巻きのCal.15BM04は7日間もの長いパワーリザーブを誇り、時分ダイアルの右側には巻き上げ量を示すインジケーターが配置されている。2021年モデル。限定60本の生産。

■NTS0054 ■42mm ■ステンレススティールケース ■フルスキンアリゲーターストラップ ■手巻き ■30m防水 ■世界限定60本 ■¥2,860,000(税込)


■BOVET(ボヴェ) ■フルリエ ナインティーンサーティ スティール グリーン ギョーシェ フルリザン ■NTS0068

フルリエ ナインティーンサーティ スティール グリーン ギョーシェ フルリザン

深みのあるグリーンのダイアルとマッチするアリゲータースキンのストラップが美しいハーモニーを奏でる2021年発表のモデル。時分ダイアルとスモールセコンドのダイアルの外側にはフルリエに伝わる独特の彫金技法「フルリザン」エングレービングが施されている。こちらも限定60本の生産。

■NTS0068 ■42mm ■ステンレススティールケース ■フルスキンアリゲーターストラップ ■手巻き ■30m防水 ■世界限定60本 ■¥2,860,000(税込)


■BOVET(ボヴェ) ■フルリエ ナインティーンサーティ スティール ブラックラッカー ■NTS0029

フルリエ ナインティーンサーティ スティール ブラックラッカー

ラッカー仕上げのブラックダイアルに配されたアラビア数字インデックスが、時計の古典美を伝える2021年発表のモデル。7日間ものロングパワーリザーブを備え、時分ダイアルの右脇には他のモデルと同様、巻き上げ量を示すインジケーターが配置されているが、このモデルでは実に控えめな印象となっている。

■NTS0029 ■42mm ■ステンレススティールケース ■フルスキンアリゲーターストラップ ■手巻き ■30m防水 ■¥2,750,000(税込)


■BOVET(ボヴェ) ■フルリエ ナインティーンサーティ ゴールド ブルー ギョーシェ ■NTR0058

フルリエ ナインティーンサーティ ゴールド ブルー ギョーシェ

ギョーシェ彫りが施されたダイアルに、透明感あふれるブルー仕上げが施された「フルリエ ナインティーンサーティ」の2021年発表モデル。ブルーのアリゲーターストラップに加え、リューズやラグの両サイドに施されたブルーサファイアのカボションが、18Kレッドゴールド製のケースと素晴らしいマッチングを見せる。

■NTR0058 ■42mm ■18Kレッドゴールドケース ■フルスキンアリゲーターストラップ ■手巻き ■30m防水 ■¥4,950,000(税込)

独創のスタイリングが際立つボヴェのコンプリケーション

 2001年にオーナーに就任したパスカル・ラフィ氏の指揮により、高級時計のトップ・セグメントへ復帰したボヴェ。ラフィ氏は、その生産体制を盤石なものにするため、2004年に複雑時計を製造する「オーベルト・コンプリケーション」を傘下に収め、2006年にはムーブメント製造会社「STT(スイス・タイム・テクノロジー)」を買収。さらにジュネーブにある宝飾セッティング会社も吸収し、時計の開発から部品製造、組み立てと調整、装飾までカバーする自社一貫生産マニュファクチュールの体制を確立した。

 そのボヴェの特色を遺憾なく発揮するモデルが、独自の発想と高度なデザイン性、そして卓越した装飾技術を融合したコンプリケーション(複雑)モデルだ。

「R26C2-001 ディミエ リサイタル 26 チャプター 2 サファイア ブルークォーツ」は、2016年にパスカル・ラフィ氏がデザインしたアイコニックな“ライティングスロープ”型非対称ケースが特徴。この独創的なケースに収められるのが、ボヴェのマニュファクチュールが製作した、いくつもの機構を搭載した美しいムーブメントだ。

 そして「T10GD023 フルリエ44 ヴィルトゥオーソ 8 ゴールド アベンチュリン」は、星を散りばめたように美しいアヴェンチュリンをダイアルに用い、両面フライングトゥールビヨンやビッグデイト、視認性に優れたパワーリザーブインジケーターなど、実用度の高いメカニズムを搭載し、パスカル・ラフィ氏が目指す「日常使いを目的とした、操作性および視認性に優れたコンプリケーション」を実現しているのだ。

 透明なサファイアクリスタル製のケースにチタン製のラグを装着した独創的な構成を持つ「R26C2-001 ディミエ リサイタル 26 チャプター 2 サファイア ブルークォーツ」。時分ダイアルや第2タイムゾーン、ムーンフェイズなどのインダイアルがすべて立体的なドーム形状になっていることがわかる。


■BOVET(ボヴェ) ■ディミエ リサイタル 26 チャプター 2 サファイア ブルークォーツ ■R26C2-001

ディミエ リサイタル 26 チャプター 2 サファイア ブルークォーツ

時代を超越した未来的な感覚でデザインされたウルトラ・ハイエンドなコンプリケーション・モデル。ケースは透明なサファイア製でチタン製のラグが装着されている。搭載する複雑機構はトゥールビヨン、立体的なムーンフェイズ、世界主要都市名を書き込んだ半球による第2タイムゾーン表示。時分ダイアルもドーム状のブルークォーツを用い、針もドームにそってカーブが付けられている。世界限定10本。

■R26C2-001 ■47.8mm ■サファイアケース(チタニウムラグ付き) ■ダブルフルスキンアリゲーターストラップ(プラチナステッチ) ■手巻き ■30m防水 ■世界限定10本 ■¥50,600,000(税込)


■BOVET(ボヴェ) ■フルリエ44 ヴィルトゥオーソ 8 ゴールド アベンチュリン ■T10GD023

フルリエ44 ヴィルトゥオーソ 8 ゴールド アベンチュリン

60秒で一回転し、重力の影響を分散させるトゥールビヨンに加え、ビッグデイトとパワーリザーブインジケーターを装備するコンプリケーション・モデル。ダイアルは夜空に散りばめられた星々を思わせるブルー アベンチュリンを採用。フルに巻き上げると10日間もの作動時間を実現したロングパワーリザーブを特徴とするCal.17BM06-GDを搭載。2021年発表モデル。限定39本。

■T10GD023 ■44mm ■18Kレッドゴールドケース ■フルスキンアリゲーターストラップ ■手巻き ■30m防水 ■世界限定39本 ■¥29,370,000(税込)

ピニンファリーナと共同開発された
次世代のハイパーなタイムピース

 スイスで、いや世界的に見ても稀有なポジションを獲得したボヴェには、古典的デザインとは異なる、もうひとつの側面がある。それがここで紹介する「TPINBA.001/XX/001 ボヴェ バイ ピニンファリーナ バッティスタ トゥールビヨン チタニウム」に代表される、高度な技術に裏打ちされた未来の高機能タイムピースの開発力の高さだ。

 このモデルの原点となったのはイタリアを代表するカロッツェリア(自動車ボディのデザインおよび製造を行うメーカー)であり、さまざまな工業製品を手掛けるデザイン会社ピニンファリーナが設計し、2018年に発足した系列の自動車メーカー「アウトモビリ・ピニンファリーナ」が製造するハイパーEV「ピニンファリーナ バッティスタ ハイパーGT」である。

 ピニンファリーナ創業者に敬意を表し、その名を冠した超高性能EV「ピニンファリーナ バッティスタ ハイパーGT」は、4個のモーター合計で最大出力1,900hpを発生し、0~100km/h加速2秒以内、最高速350km/hという性能を有するモンスターマシン。

 この圧倒的なパフォーマンスを発揮するEVと並んでデザインされた、ボヴェのタイムピースもまた圧倒的な存在である。

 ケースはモータースポーツ界で多用されるグレード5のチタニウムと、透明なサファイアクリスタルで構成。この画期的なケースに搭載されるボヴェの自社製ムーブメントは、両面フライングトゥールビヨンとビッグデイトを装備し、シングルバレル(時計を駆動する主ゼンマイがひとつ)でありながら10日間ものロングパワーリザーブを実現している。この数値を見ただけでも、これが“ハイパーなタイムピース”だと理解できるはずだ。


■BOVET(ボヴェ) ■ボヴェ バイ ピニンファリーナ バッティスタ トゥールビヨン チタニウム ■TPINBA.001/XX/001

ボヴェ バイ ピニンファリーナ バッティスタ トゥールビヨン チタニウム

アウトモビリ・ピニンファリーナのハイパーEV(電気自動車)「バッティスタ」にインスパイアされて誕生した近未来のハイパーなコンプリケーション・ウォッチ。6時位置に両面フライングトゥールビヨンを装備し、3時位置にビッグデイト表示、9時と10時の間にパワーリザーブ表示を配置。そのパワーリザーブはシングルバレルながら、実に10日間にも及ぶ。2021年発表モデル。世界限定30本。

■TPINBA.001/XX/001 ■45.6mm ■グレード5チタニウムケース ■バイカラーラバーストラップ ■手巻き ■30m防水 ■世界限定30本 ■¥38,500,000(税込)

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