それぞれの個性から紐解くオーデマ ピゲの選び方
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
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オーデマ ピゲには様々なコレクションがある。メンズウォッチの主力となるのは「ロイヤル オーク」「ロイヤル オーク オフショア」と「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」だが、スポーティ系もあれば、ハイ・コンプリケーション系もあり、その魅力は広い。今回はYOSHIDA(ヨシダ)の店頭から5つのモデルをピックアップし、スペックシートには表せない個性を語って行きたい。
この「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」は、素材を楽しむ時計である。ケース素材はチタン。軽くて耐錆性能に優れた素材だが、その理由は酸化しやすいから。強力な酸化被膜によって錆びを防ぎ、アレルギーも起こさないのだが、その特性のおかげで加工が難しい。削ったり磨いたりすると、そこからどんどん酸化していくため、表面が梨地のようにマットになってしまうのだ。しかしオーデマ ピゲでは、通常素材の数倍の時間をかけてチタン素材にヘアラインやポリッシュ仕上げを施している。
チタン素材はステンレスよりもグレーが色濃いので、精悍さが増す。このモデルではこの金属色に合わせてセラミックベゼルやダイヤル、ストラップをグレーでまとめているのも素材を生かしたテクニックだ。ちなみにベゼルのビスはホワイトゴールド製になっており、素材の違いによるコントラストをより強く引き出しいる。
エクストリームスポーツウォッチの王者として揺ぎ無い価値を持つ「ロイヤル オーク オフショア」だが、素材使いのテクニックも存分に楽しんでもらいたい。
ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ
■26470IO.OO.A006CA.01 ■42mm ■チタンケース ■ラバーストラップ ■自動巻き ■100m防水
高級時計を眺めると、ぼんやりと「綺麗だなー」と感じることがある。それはさりげなく美観を高めるテクニックを積み重ねているからだ。「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」にも、こういった美しいディテールがふんだんに盛り込まれる。例えばダイヤルは、サンバースト仕上げを施した金属板の上に、スモークパープルのラッカーを幾重にも塗り重ねた。そのため光によって濃淡が生まれ、美しく表情を変化させる。さらに、風防には2つの異なるガラスの構造を合わせることによって美しい波紋が楽しめ、インデックスやブランドロゴが立体的な植字式なのも高級感がある。
またケース構造にもこだわりが詰まっている。上下のラウンドケースを別体の8角形のミドルケースでサンドイッチする構造なので、ギリギリまでサテンとポリッシュで丁寧に磨き分けることができる。さらにラグは中空式になっているが、そのエッジまで綺麗に磨いているのも美観を高めるポイントだ。こういった細かい仕事の積み重ねが、時計を眺めた瞬間の喜びへと繋がる。それが「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」が評価されている理由の一つなのだ。
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
■15210OR.OO.A616CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水
機械式時計の価値を語る際にどうしても避けて通れないのが、ムーブメントについてである。オーデマ ピゲはもちろん完全自社製のムーブメントであるが、“自社製”のメリットは機能とデザインを融合できることにある。「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ」は、2019年にデビューした新型ムーブメントのCal.4401を搭載している。横目配列の積算計やスモールセコンドがダイヤルデザインに安定感を与えており、左右が積算形でスモールセコンドが6時位置にあるという配置も読みやすい。
シースルーバックからは、精密に動く様子を鑑賞できるが、大型のブリッジやプレートでムーブメントを一気に抑えるのではなく、クロノグラフ機構のレバーなどの動きが見えるように設計している。さらには自動巻きローターも肉抜き仕上げしており、機構が綺麗に見えるようにしているのも嬉しい。
スマートフォン時代であっても、機械式時計を愛でる人が増えているのは、こういった精緻な機械の動きに魅了される人が多いからだろう。オーデマ ピゲの魅力は、外見のデザインだけではない。時にはケースをひっくり返し、裏側をじっくりと眺めたい。
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ
■26393BC.OO.A068CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水
高付加価値商品を作り出す時計業界では、替えの効かない熟練職人の技術には大きな価値がある。特に工作機械が進化し、平均レベルのモノづくりがやりやすくなったからこそ、平均を超えるための職人技が尊ばれるようになっているのだ。高度な職人技を最も目で堪能しやすいのは、スケルトン仕上げだろう。
ムーブメント地板を肉抜き加工する技術は、懐中時計の時代から、時計技巧を表現するテクニックとして好まれてきたが、現代になるとデザインの一つとして専用設計しているので、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフ」のように、完璧なシンメトリー配列にすることができる。しかもこの複雑なスケルトンブリッジの全ての斜面を丁寧に面取り加工しているのだ。その手間を考えると恐ろしくなるが、熟練職人の丁寧な仕事のおかげで、キラッと輝く美しい時計が完成する。
オーデマ ピゲにとって、時計を製作する職人は宝である。そんな職人が丹精込めて磨き上げたパーツが見えるスケルトンウォッチは、それだけでも尊い価値があるのだ。
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフ
■26399CR.OO.D002CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールド×18Kピンクゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■世界限定50本 日本先行発売
時計業界における3大複雑機構といえば「永久カレンダー」「トゥールビヨン」「ミニッツリピーター」ということになる。どれもがロマンティックな魅力を持っているが、特に格上とされているのが「ミニッツリピーター」である。現在時刻を音で知らせるというユニークでロマンティックな魅力を持った機構であるが、「ロイヤル オーク ミニッツリピーター スーパーソヌリ」は、“美しい音”を徹底的に探究し、その価値を高めている。
音の良し悪しは主観的なモノだが、オーデマ ピゲではミュージアム所蔵品を解析して理想の音を導き出し、その音を作り出すための方法をスイス連邦ローザンヌ工科大学と共に科学的に突き詰めていった。その結果生まれた「スーパーソヌリ」は、音を発するゴングを反響板に固定し、さらに反響板が大きく震えるようにケースバックとの間にスペースを作った。いうなれば楽器のような構造にすることで、理想の音を実現させたのだ。しかも最終的には人が聞いて調律しているというのも面白い。
科学がどれだけ進化しても、最終的に人を感動させるのは人間の仕事である。「ロイヤル オーク ミニッツリピーター スーパーソヌリ」は、エンジニアリングの凄みと人間の感性が融合した時計である。だから途轍もなく価値があるのだ。
ロイヤル オーク ミニッツリピーター スーパーソヌリ
■26591TI.OO.1252TI.02 ■42mm ■チタンケース&ブレスレット ■手巻き ■20m防水 ■ジャパンブティック限定35本
YOSHIDA 東京本店
東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-5
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営業時間:10:30~19:30
年中無休(年末年始を除く)
オーデマ ピゲ ブティック 大阪
大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-6-9
<Googlemapはこちら>
営業時間:10:00-19:30
年中無休(年末年始を除く)
ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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