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YOSHIDAで体験する、高級時計への旅 ~第116回~

美術工芸品として存在感を高めた
オーデマ ピゲのフライング トゥールビヨン

2020.12.11
■AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ) ■CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン ■26396OR.OO.D002CR.02

文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano

※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。

 高級時計はなぜ、これほどまでに価値があり、そして我々を魅了するのか? 理由はいろいろだろうが、個人的には丁寧な手仕事こそが、その価値と魅力を創造していると考える。AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)の時計は画一的な工業製品ではない。職人の手仕事から生み出される「美術工芸品」ともいえる存在なのだ。

徹底的な手仕事で価値を創造する
美し過ぎるフライング トゥールビヨン

 高級時計が“高級”であるのは、単に価格が高いだけではない。そもそも時計の価格や価値というのは、丁寧な手仕事によって生み出される。

 時計工房では熟練の職人が、肉眼では見えないほど小さなパーツに対し、双眼顕微鏡を用いて丁寧に磨きこんでいく。それこそ1つのパーツを仕上げるのに1日がかりという場合もあるほど、その作業は手間と根気が求められる。そういった丁寧な仕事は、ケースやダイヤルなどあらゆるところに施される。それが“美の結晶”となって、見る人すべてを感動させるのだ。

 オーデマ ピゲの時計たちは、そのどれもが丁寧な手仕事から生まれている。特に新作の「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン」は、あらゆる箇所から手仕事を感じ取ることができるだろう。


■AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ) ■CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン ■26396BC.OO.D002CR.01

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン

澄み切った冬の明け方の美しい朝焼けと星空のコンビネーションを思わせる、ブルーグラデーションダイヤルが特徴。惹きこまれるような美しさがある

■26396BC.OO.D002CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■ブラックアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水


■AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ) ■CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン ■26396OR.OO.D002CR.02

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン

ブラックアヴェンチュリンダイヤルは、漆黒の闇夜と満天の星空を思わせる。時間という概念は、太陽と月から生まれた。そんな太古のロマンを思い起こさせる時計だ。

■26396OR.OO.D002CR.02 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■ブラックアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水

「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン」を見たとき、最初に目に飛びこんでくるのは、キラキラときらめくダイヤルだ。

 これはアヴェンチュリンとグラン・フー エナメルの複合技。アヴェンチュリンは石英の中に海野の結晶が光る特殊な半貴石だが、このモデルで使用しているのは人工のアヴェンチュリン。ゴールド製ダイヤルの上にキラキラと光るパウダーをふりかけ、さらにその上からエナメルパウダーをのせてから約800度の炉の中で焼き上げる。しかしその火入れのタイミングは一瞬であるため、職人は一瞬も気を休めることはできない。しかしそのおかげで、すると深みのある艶やかなエナメルの内側がキラキラと輝くのだ。


■AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ) ■CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン ■26396BC.OO.D002CR.01

小宇宙さながらの世界観を描くエナメルダイヤルの妙技。

 しかもインデックスは植字式を採用するが、これも手仕事の賜物だ。ガラス質のコーティングで覆われるグラン・フー エナメルは割れやすいので、通常はインデックスをプリント式にする。しかし「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン」では、ダイヤル面に小さな穴をあけ、立体的なインデックスを植字している。ここにも驚くほど丁寧な仕事が隠れているのである。


■AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ) ■CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン ■26396OR.OO.D002CR.02

植字インデックスと時針・分針、フライング トゥールビヨンのキャリッジに至るまで使用したゴールドとグラン・フー エナメルのコントラストが実に美しい。

 また、ケースの仕上げも見所である。これは「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」の全コレクションで採用されている構造ではあるが、ラウンドケースの間に8角形のミドルケースを挟み込んでいる。この部分にサテンとポリッシュで丁寧に仕上げ分けることでメリハリのある光の反射をつくり、華やかな雰囲気を演出する。しかもラグ(ここも丁寧にエッジが磨かれている)は中空構造なので、その磨きをしっかりと見ることができるのだ。さらには、風防の内側はドーム曲面にカーブし、外側は、縦方向に湾曲するダブルカーブを採用し、見る角度によって光の屈折が楽しめるのも特徴的である。


■AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ) ■CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン ■26396OR.OO.D002CR.02

美観という意味でも軍を抜いているキャリバー2950。

 そしてもちろん搭載されたキャリバー2950も美しい。オーデマ ピゲでは唯一の自動巻き式フライング トゥールビヨン専用ムーブメントだが、トゥールビヨン(の裏側)から広がる放射状のストライプ仕上げや、大きな人工ルビーの穴石などがしっかり見えるように、ローターを肉抜き仕上げしているのも特徴だ。

 オーデマ ピゲの時計たちは、丁寧な手仕事によって美術工芸品へと昇華する。「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン」の美しい姿は、“高級時計とはどういうものであるか”を雄弁に語っているのだ。

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