オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」
初の自動巻きフライング トゥールビヨンが登場!
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
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1972年に世界初の“ラグジュアリースポーツウォッチ”として誕生したオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」。その特徴的なスタイルは、ほとんど変わることなく現代へと受け継がれているが、その一方でメカニズムや素材は常に進化を続けている。今回ピックアップするのは、「ロイヤル オーク」としては初となる“自動巻きのフライングトゥールビヨン搭載モデル”である。
世界で初めてトゥールビヨンウォッチを製作したのはオーデマ ピゲで、1986年に初代モデルを発表している。
そしてそれ以降も数々のハイ・コンプリケーションウォッチを発売しているが、ロイヤル オーク×トゥールビヨンの組み合わせの登場は遅く、ロイヤル オーク誕生25周年記念モデルとして、1997年に発売された(ちなみに永久カレンダーモデルは、もっと早くて1983年には完成している)。
このモデルはアニバーサリーという理由もあってか、かなり個性的だった。時刻表示を12時位置にオフセットし、6時位置の空いたスペースにケースデザインを模した8角形の大きな窓を作って、そこに三つ又ブリッジのトゥールビヨンを収納している。しかも通常のムーブメントとは異なる設計だったためか、リューズをケースバック側に配置するなどかなり凝った作りになっていた。
「ロイヤル オーク×トゥールビヨン」という組み合わせが、増え始めたのは2000年代に入ってからだ。まずは2002年に、ロイヤル オーク30周年として始まった「ロイヤル オーク コンセプト」で、耐衝撃式ブリッジを組み込んだトゥールビヨン機構を開発。その一方で通常モデルとしても、「ロイヤル オーク トゥールビヨン クロノグラフ」をリリースし、いよいよ本格的にラグジュアリースポーツウォッチにもトゥールビヨン機構が搭載されるようになっていく。
2002年に登場した初代「ロイヤル オーク コンセプト」
そもそも「ロイヤル オーク」は、“ラグジュアリー”とはいえどもスポーツウォッチなので、トゥールビヨンモデルであっても日常的に使うことが前提だ。となれば耐衝撃性を意識して、トゥールビヨンキャリッジを固定したいのは当然のことだ。そのため「ロイヤル オーク」では、美しく磨き挙げた「への字型ブリッジ」を使って、トゥールビヨンキャリッジをしっかり支えてきた。
しかしブリッジの存在は、デザインの可能性を大きく限定してしまうことでもある。実は「オーデマ ピゲ」では、初めての女性用の「ロイヤル オーク コンセプト」モデルを作ろうとしていた。しかしダイヤルをダイヤモンドで美しく装飾しようとすると、どうしてもブリッジが邪魔になる。そこでオーデマ ピゲも、遂にフライングトゥールビヨンの開発を始める。つまり“ロイヤル オーク×フライングトゥールビヨン”の組み合わせは、美しい時計を作りたいという信念から始まったのだ。
ラグジュアリースポーツウォッチの定番的な組み合わせである、ステンレススチール×ブルーダイヤル。
フライングトゥールビヨン機構は、2018年に女性用の「ロイヤル オーク コンセプト」に初採用。搭載ムーブメントは、キャリバー2951と命名された。さらにGMT機構などが組み込まれたキャリバー2954も完成。そのどちらも手巻き式だった。そして2019年には、自動巻き式機構のキャリバー2950が完成。これによって、様々なモデルにフライングトゥールビヨンを搭載することができるようになった。
ちなみに新作の「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン」に、キャリバー2950を搭載。ケース素材は、18Kピンクゴールド、ステンレススチール、チタンの三種類の用意がある。
2019年に完成した自動巻き式フライングトゥールビヨン専用キャリバー2950
6時位置のトゥールビヨンキャリッジは軽やかに浮遊し、サンバースト模様のタペストリーやグラデーションカラーも、ブリッジがないため今まで以上に美しく映えるようになった。
こちらはチタンバージョン。その他の素材と文字盤の仕様が異なる。
現代の時計業界では、フライングトゥールビヨン自体は珍しい機構ではない。しかしオーデマ ピゲの場合は、そこに美意識が貫かれている。満を持して登場した「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン」には、待たせただけ美しさがあるのだ。
ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン
スモークグレーのサンバースト仕上げを施し、柔らかなグラデーションカラーに。トゥールビヨンから放射状に広がるようなエヴォルティヴタペストリー模様も美しい。
■26530OR.OO.1220OR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース&ブレスレット ■自動巻き ■5気圧防水
ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン
スモークブルーのダイヤルを採用。ステンレススチールケースを使用しており、ラグジュアリースポーツウォッチのDNAを感じることができる。
■26530ST.OO.1220ST.01 ■41mm ■ステンレススチールケース&ブレスレット ■自動巻き ■5気圧防水
ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン
「ロイヤル オーク」としては珍しく、ダイヤルにサンドブラスト加工を施したスレートグレーダイヤルを使用。チタンケースならではの精悍な雰囲気を楽しみたい。
■26530TI.OO.1220TI.01 ■41mm ■チタンケース&ブレスレット ■自動巻き ■5気圧防水
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ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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