オーデマ ピゲ
「ロイヤル オーク ミニッツリピーター スーパーソヌリ」
2020年最新作
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
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数多くのパーツを使用し、それぞれを誤差なく動かす複雑機構は、機械式時計の華であり、そのメカニズムの奥深さを楽しむものになっている。しかしこういった機構もルーツを辿れば、便利さと機能性を追求した“実用機構”であったはず。では現代のハイ・コンプリケーションはどこへ向かおうとしているのだろうか? 時計店YOSHIDA(ヨシダ)が注目するオーデマ ピゲの最新作「ロイヤル オーク ミニッツリピーター スーパーソヌリ」の紹介から、その話に触れてみたいと思う。
正確な時刻を示す“だけ”でも十分であるはずの機械式腕時計に、様々な付加機構が求められるようになったのは、1980年代のことだ。
1969年に高精度な日本製クォーツウォッチが誕生し、時計の性能&品質=高精度であるというロジックが破綻してしまった。するとこれまで性能と品質で勝負してきたスイスの時計ブランドは、アイデンティティを失ってしまう。さらに為替レートの関係でスイス時計の価格は高騰し、一気に時計会社の経営が悪化してしまう。いわゆる「スイス時計冬の時代」である。
しかしスイス時計には、もうひとつの強みがあった。それが「芸術性」である。
過去にもスイス時計は、アメリカ製の時計によって時計界の盟主としての座を脅かされたことがある。しかしアメリカが徹底的に効率化と実用性で勝負したのとは対照的に、スイス時計は職人の手仕事から生まれる美しさやメカニズムの複雑さを武器とした。そういった価値は、日本製のクォーツウォッチであっても太刀打ちできない。
もちろん低中価格帯の時計はクォーツウォッチによって大打撃を受けたが、高級時計はむしろ芸術的価値を強く押し出すことで、よりスイス時計のブランド力を強固なものにすることができた。そのため1980年代の後半から、スイスの機械式時計は業績を回復していく。
この“スイス時計のブランド力”を語る上で欠くことができないのが、ミニッツリピーターやトゥールビヨンに代表されるハイ・コンプリケーションである。
どちらの機構も懐中時計の時代に開発され、卓越した技術を持つ時計師や時計ブランドによって丁寧に受け継がれてきた。ミニッツピーターは暗い場所でも時刻がわかるように開発された機構で、トゥールビヨンは胸ポケットの中で直立状態になり、一方向に重力がかかり続けることで発生する姿勢差をキャンセルするための高精度機構。どちらも時代の要請から生まれた実用のための機構である。
しかし20世紀になり腕時計時代が始まると、街には街灯ができたので音で時間を知る必要はなくなり、腕に合わせて様々な方向に動くために姿勢差はほぼ発生しなくなる。そうするとミニッツリピーターもトゥールビヨンも、必要ではなくなる。だがこういったハイ・コンプリケーションこそが、クォーツウォッチにはないスイス時計の強みになるだろう……。そう考えたのが、オーデマ ピゲだった。
オーデマ ピゲ製のハイ・コンプリケーションの先駆け的な1本「Ref.25643」。
同社は1986年に世界初のトゥールビヨンウォッチ「Ref.25643」を発表。世界で最も小さくて薄い直径7.2mmのトゥールビヨンキャリッジは、卓越したパーツ加工精度と天才的な技術を持つ時計師でなければ実現しない機械芸術である。こういった技術的にもデザイン的にも優れたハイ・コンプリケーションウォッチが作られることで、スイス時計業界の価値は今まで以上に高まることになったのだ。
スイス時計の価値が再評価された現代でも、ハイ・コンプリケーションへの注目は高まるばかりだ。しかも、単に“音が鳴る”や“機構がぐるぐる回る”だけでは時計愛好家は満足しなくなっている。より過激なモノ、より芸術的なモノ、そしてよりエモーショナルなモノを求めるようになっている。
オーデマ ピゲの「スーパーソヌリ」は、過激で芸術的でエモーショナルなハイ・コンプリケーションだ。スイス連邦ローザンヌ工科大学(EPFL)と8年の歳月をかけて共同研究して、理想の音色と音響を追求した。その音色は科学的に検証されつつ、手作業で調律されるというから、これはもはや「楽器」である。
この機構は様々なモデルに搭載されているが、その最新作がジャパンブティック限定の「ロイヤル オーク ミニッツリピーター スーパーソヌリ」であり、お馴染みのデザインでありつつ、ケース素材にはチタンを使用。そしてダイヤルの色も他にはない特別色だ。
ロイヤル オーク ミニッツリピーター スーパーソヌリ
美しい音色を響かせるスーパーソヌリを搭載した「ロイヤル オーク」。反響板にゴングを取り付けており、ケースバック側から美しい音が広がる。
■26591TI.OO.1252TI.02 ■42mm ■チタンケース&ブレスレット ■手巻き ■20m防水 ■ジャパンブティック限定35本
誰もが知るマスターピースであり、その見た目は極めて普遍的。しかしサイドのスライダーを操作すればたちまち美しい音色を奏でる。そのギャップこそが、この時計の面白さ。ハイ・コンプリケーションはこのように、過激で芸術的でエモーショナルに進化するのだ。
裏蓋には、希少な限定モデルであることを記す「LIMITED EDITION OF 35 PIECES」刻印を確認することができる。
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ フライング トゥールビヨン クロノグラフ
クロノグラフとフライングトゥールビヨンを融合。シンメトリックなスケルトンムーブメントは、完璧な美しさがある。
■26399CR.OO.D002CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールド×18Kピンクゴールドケース ■ブラックアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水 ■世界限定50本 日本先行発売
ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン オープンワーク
大きな二つのブリッジが特徴のトゥールビヨン×クロノグラフ。立体的な造形美も見所。
■26612TI.OO.D002CA.01 ■44mm ■チタンケース ■ブラックラバーストラップ ■自動巻き ■100m防水 ■ジャパンブティック限定25本
ロイヤル オーク コンセプト フロステッドゴールド フライング トゥールビヨン
立体的なサンバースト模様のダイヤルが美しいモデル。フライングトゥールビヨンのキャリッジに、ダイヤモンドをセッティングして華やかに。
■26630BC.GG.D326CR.01 ■38.5mm ■18Kホワイトゴールドケース ■ブルーアリゲーターストラップ(シャイニーブルーのラバーストラップ付き) ■手巻き ■20m防水
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ミニッツリピーター スーパーソヌリ
美しいスモーク仕上げのグラン・フー エナメルのダイヤルを使用した美しいミニッツリピーターは、音も美しい。
■26395BC.OO.D321CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■ブルーアリゲーターストラップ ■手巻き ■20m防水
YOSHIDA 東京本店
東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-5
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営業時間:10:30~19:30
年中無休(年末年始を除く)
オーデマ ピゲ ブティック 大阪
大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-6-9
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営業時間:10:00-19:30
年中無休(年末年始を除く)
ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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