CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲの頂点に立つ
“最新チャイムウォッチ”とは?
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
編集:戸叶庸之 / Edit:Tsuneyuki Tokano
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
文:篠田哲生 / Text:Tetsuo Shinoda
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数ある複雑機構の中で最も格上とされるのが、ミニッツリピーターのように音が鳴る「ストライク機構」である。しかしその中にも技術の格付けがある。AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)の「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ」は、メカニズム的にも音質的にも最高レベルであるが、さらにダイヤル表現にもこだわった、まるで奇跡のような時計である。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ」の凄さを語るには、まずは極めて高度なメカニズムから話を始める必要があるだろう。
アワーマーカーがないダイヤルからも「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ」が既存のモデルと毛色が違うことが窺える。
時計内に搭載したハンマーとゴングを使って音を奏で、現在の時刻を知らせる「ミニッツリピーター」は、懐中時計の時代から愛されてきた極めて高度な機構である。ケースサイドのスライダーを動かすと機構が作動し、通常は高音と低音という2種の音階を奏でる。コンコンコン、コンキン、キンキンと鳴ったら、3時17分である。これはまずは低音の鐘が、コンコンコンと3回で3時、次に低音と高音の組み合わせで15分刻みのクオーターを知らせるので、コンキンだと15分、そして最後に高音がクオーターに満たない数を鳴らす。キンキン2回の場合は15分+2分で17分。よって「3時17分」ということなのだ。
その精密なメカニズムには驚かされるが、実はさらに格上の機構がある。それが「グランソヌリ」と「プチソヌリ」だ。グランソヌリは、正時になるとその数だけ音が鳴り(4時なら4回、12時なら12回)、さらに15分(クオーターごと)に組み合わせが鳴る(15分なら1回、45分なら3回)という機構。そしてプチソヌリは、正時のみ、その数だけ音が鳴るという機構だ。時間がくるとゴーンとなる時計塔が、小さくなったというイメージだろうか。
決められた時間に音が鳴るだけなので単純な機構にも思えるが、その何が凄いのか? それは動力である。ミニッツリピーターは、ケースサイドのスライダーを動かすことで作動するのだが、このスライダーを動かす力でミニッツリピーター用の動力を巻き上げるので、動力源をその都度供給できる。しかし「グランソヌリ」と「プチソヌリ」は、自動的に鳴るため動力の確保が重要になる。そこで時刻表示用ゼンマイと兼用するか、あるいは専用の動力ゼンマイを組み込む必要があるのだ。
そもそも機械式時計は、弱いゼンマイのパワーをいかに上手に使うかが最重要課題。そこに重たいハンマーを組み込んで動かし、さらに時計も正確に動かし続けることは、エネルギーマネージメントの観点から見みても、極めて困難なミッションなのである。
Cal.2956の裏面。テンプの右側に3本のハンマーを確認することができる。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ」の場合は、この3つのストライキング機構を全て搭載し、しかもゴング&ハンマーは3組で、クオーターを低音、中音、高音の3音で奏でるという“カリヨン”というタイプ。つまりグランドソヌリの場合、最大で12回+9回の21回も連続で重たいハンマーを動かしているということになる。まさに驚異的なメカニズムなのだ。
しかしその凄さは、まだまだ終わらない。このモデルはオーデマ ピゲが、ローザンヌのスイス国立テクノロジー学院(EPFL)と8年の歳月をかけて共同研究した、美しい音色を奏でる「スーパーソヌリ」でもある。これは理想の音質と音色を実現するために、ゴングを反響板側に取り付けることで懐中時計に匹敵する豊かな音量と音質を高め、しかも防水性を確保するという技術。複雑なだけでなくハーモニーも美しいという、まさに最強のストライキングウォッチなのだ。
しかしこれこそが、オーデマ ピゲの伝統の力でもある。同社は1875年に創業したが、それから間もない1882年から1892年の10年間で1625個の懐中時計を制作。その半分以上が、なんとソヌリ機構を搭載していたという。さらに腕時計の時代になってからもミニッツリピーターウォッチの製造に力を入れており、そういった技術と伝統の蓄積が、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ」へとたどり着いたのだ。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ」のダイヤルには一点たりとも同じものが存在しない。
この時計のメカニズムの凄さは、何とか伝わったかもしれないが、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ」は、こういったウンチクがなくても十分に楽しめる魅力がある。それは美しいダイヤルだ。これはエナメル装飾の第一人者であるアニタ・ポルシェが手掛けた「グラン・フー」スパンコールエナメルダイヤルと呼ばれるもので、古典的な技法を使っていながらも、どこかコンテンポラリーな美しさがある。
アニタ・ポルシェのアトリエの様子。
つまりこのモデルは、オーデマ ピゲの伝統と革新を表現する「コード 11.59 バイ オーデマ ピゲ」を軸に、古典的なストライク機構を現代的な技法で美しい音色へと進化させ、現代アートのようなモダンなダイヤルを伝統的な芸術技法で仕上げたという、複雑かつ魅力的な時計であるということ。その存在は、まさに奇跡的なのである。
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ グランドソヌリ カリヨン スーパーソヌリ
エナメル装飾の第一人者であるアニタ・ポルシェによる唯一無二のダイヤルを備えたチャイムウォッチ。「グランドソヌリ」と「プチソヌリ」の切り替えは、2時位置リューズで行う。自動的に音が鳴らないようにするサイレントモードもある。
■26397BC.OO.D002CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■ブルーアリゲーターストラップ ■手巻き ■20m防水
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
横から見ると、8角形のミドルケースがピンクゴールドになっているという、立体的な3層構造が特徴的でユニークなコンビモデル。
■15210CR.OO.A009CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールド×18Kピンクゴールドケース ■グレーアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ
コクのあるバーガンディをダイヤルカラーなどに採用。グラデーションを利かせることで、色気ある腕元に。
■26393BC.OO.A068CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■バーガンディアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ
メンズウォッチにはかなり珍しいパープルカラーだが、サンバースト模様にすることで、落ち着いた雰囲気も加わっており、お洒落に楽しめる。
■26393OR.OO.A616CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■パープルアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
深みのある艶が美しい、ブラックラッカーダイヤルモデル。品のある色合わせなので使いやすそうだ。
■15210BC.OO.A002CR.01 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■ブラックアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
ゴールド×ブラックの組み合わせは、それだけでも華やかで艶っぽい。遊び心のある腕元が出来上がる。
■15210OR.OO.A002CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■ブラックアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水
YOSHIDA 東京本店
東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-5
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営業時間:10:30~19:30
年中無休(年末年始を除く)
オーデマ ピゲ ブティック 大阪
大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-6-9
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営業時間:10:00-19:30
年中無休(年末年始を除く)
ロングランの人気連載コラム。グレッシブが擁するベテランから気鋭のライターが、YOSHIDAが取り扱うタイムピースおよびブランドをご紹介します。時計の基本的な情報はもちろん、この連載ならではの様々な切り口で注目ブランドの魅力を解説します。パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ウブロなどの人気ブランドから新進気鋭まで名店YOSHIDAならではの審美眼について特集を展開します。
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