「ジェンダーレス」に楽しむオーデマ ピゲ

文：篠田哲生 / Text：Tetsuo Shinoda
編集：戸叶庸之 / Edit：Tsuneyuki Tokano

※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。

　これまではメンズウォッチとレディスウォッチの間には、サイズやデザイン、ムーブメントの種類などで明確な違いがあった。しかし近年は、女性にも比較的大きな機械式時計を好む人が増えている。その一方で男性には小ぶりな時計が人気を集めるようになっている。つまり時計においても、男女の垣根がなくなりつつあるようだ。男性的な時計を得意としてきたAUDEMARS PIGUET（オーデマ ピゲ）でさえも、男性も女性も楽しめるジェンダーレスな時計が増え始めている。創造的で型破りな時計を作ってきたオーデマ ピゲだからこそ、性差の壁さえも軽やかに飛び越えることができるのだ。YOSHIDA（ヨシダ）が選ぶ、注目の4モデルを紹介する。

34mmの「ロイヤル オーク」が切り開く新時代

　ラグジュアリー・スポーツウォッチの定番であり、男性から圧倒的に支持される「ロイヤル オーク」は、実は女性からの人気も高い。8角形ベゼルのデザインは普遍的であり、誰の目にも美しく映えるからだ。クォーツ式の33mmという小径モデルをはじめ、女性にとってもすでに定番なのだ。

　このタイミングでニュースが舞い込んだ。オーデマ ピゲは、2020年9月、イギリスのラグジュアリーファッションブランド、ラルフ＆ルッソとパートナーシップを発表。

　その第一弾として、ラルフ＆ルッソの2021年SSのプレタポルテコレクションに「ロイヤル オーク」と「ロイヤルオーク コンセプト」が登場する予定だという。類まれなる両社の創造性と伝統的な技術が織りなすこのコラボレーションによって、どんな相乗効果が生まれるか？ 発表が今から待ち遠しい。

　さて、本題に入ろう。「ロイヤル オーク」は今年、機械式ムーブメント搭載モデルとしては最小となる34mmケースを発表した。当然女性向けと思いきや、これが男性からの評判もいいという。現在のメンズモデルの主力は41mmケースだが、オリジナルが39mmであるため、人によっては大きすぎると感じる人もいるのだろう。それにこれだけの人気モデルなので、人との被りも気になる。

　その点34mmサイズはデザインや仕上げは全く変わらないので、より“凝縮感”を楽しめるし、見慣れたデザインも、小ぶりになることで新鮮味も増してくる。34mmの「ロイヤル オーク」は、男性にとっても女性にとっても気になる存在なのだ。

ロイヤル オーク オートマティック

機械式ムーブメントを搭載した34mmモデル。腕元にさりげなく収まるサイズだが、コンビケースにすることで、華やかな個性を作り出す。

■77350SR.OO.1261SR.01 ■34mm ■18Kピンクゴールド×ステンレススチールケース＆ブレスレット ■自動巻き ■50m防水

色で遊ぶ「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」

「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」のケースサイズは41mmもあり、しかもケース構造は立体的で力強い。メンズウォッチという印象が強いだろう。しかしデザインとカラーリングのおかげで、女性でも楽しめるモデルも存在している。

　そもそも「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」はベゼルがかなり薄型なので、前面から見える表情は非常に繊細。しかし8角形のミドルケースを挟み込む立体的な構造は、グラマラスでセクシーだ。しかもケースは緩やかにカーブを描き、肉抜きした短めのアーチ型のラグがフィット感を高めているため、女性の手首にも違和感無く装着できる。実は「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は女性でも楽しめる時計なのだ。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック

ラウンドケースと8角形ケースを組み合わせた立体構造が特徴のドレスウォッチ。ダイヤル色を華やかにすることで、腕元に色気を加えてくれる。

■15210OR.OO.A616CR.01 ■41mm ■18Kピンクゴールドケース ■パープルアリゲーターストラップ ■自動巻き ■30m防水

　さらにこのようなパープルダイヤルを選ぶと、グッと華やかさを増す。外側に行くほど濃くなるサンバースト模様のグラデーション加工を施しているので、主張が強くなり過ぎることもないだろう。41mmの「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は男性にとってはジャストサイズだが、女性にとってはかなり大きい。だからこそ、この時計をサラリと使いこなす女性はとてもカッコいいのである。

今回の「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」新作の中でも存在感が際立つパープルダイヤル。

男性だって楽しめる「ミレネリー」

　現在のオーデマ ピゲのレディスウォッチを支えているのは、楕円ケースの「ミレネリー」である。優雅なケースフォルムや偏芯の時刻表示、メッシュブレスレットなど個性的な表現を加えつつ、時計機構もしっかり見えるデザインなので、本格志向の女性から支持されてきた。

　しかし「ミレネリー フロステッドゴールド フィロソフィーク」の登場には、男性の時計愛好家も色めき立った。全てが個性的なのだが、まずは針に注目。12時間で時針が一周するワンハンド式で、しかも偏芯タイプになっているので針の動きが面白い。しかもダイヤルは鎚目仕上げのような加工を施し、ケースは細やかな凹凸で光を拡散させるフロステッドゴールド加工を取り入れて優雅に光を拡散させる。

　キラキラした美しい時計を好むのは女性だけではない。個性的なデザインや職人の仕事を感じられる時計は、男性だって気になる存在だ。この時計を女性のためだけにするのは、とてももったいないのである。

ミレネリー フロステッドゴールド フィロソフィーク

機構とデザイン、仕上げのすべてに型破りな表現を取り入れた。腕元が華やぐだけでなく、人目を引き付けるため、コミュニケーションツールとしても活躍してくれるだろう。ブティック限定。

■77266OR.GG.A823CR.01 ■39.5mm ■18Kピンクゴールドケース ■ブラウンアリゲーターストラップ ■自動巻き ■20m防水 ■ブティック限定

男性も女性も引き付ける「ロイヤル オーク コンセプト」

　時計技術の粋を合わせたハイ・コンプリケーションは、機構に精通しておく必要があるので男性向けの時計といえるだろう。「ロイヤル オーク コンセプト」シリーズは、直線と斜面を活かした立体的な大型ケース＆マッシブなデザインにケースに、様々な複雑機構を取り入れた最高峰シリーズである。

　しかしここに紹介する「ロイヤル オーク コンセプト フライング トゥールビヨン」は、“優美さ”も楽しめるこれまでにないモデルになった。

　搭載する機構は高度なフライングトゥールビヨンなのだが、キャリッジに装飾したダイヤモンドを回転させて、華やかな光を放つ。さらにダイヤルは、トゥールビヨンから波紋のように広がる多層構造。ずっと時計を見ていたくなるような、不思議な魅力がある。

ロイヤル オーク コンセプト フロステッドゴールド フライング トゥールビヨン

フロステッドゴールド加工のピンクゴールドケースとブルーの立体ダイヤルの組み合わせは、何よりも色気がある。ケース径はやや小ぶりだが、フロステッドゴールド加工のおかげで、存在感も楽しめる。

■26630OR.GG.D326CR.01 ■38.5mm ■18Kピンクゴールドケース ■ブルーアリゲーターストラップ(シャイニーブルーのラバーストラップ付き) ■手巻き ■20m防水

　しかもケースには無数の凹凸を作って光を乱反射させる、フロステッドゴールド加工を取り入れ、美しさに磨きをかける。38.5mmというケース径も、ジェンダーレスで楽しめるサイズだ。これまでの「ロイヤル オーク コンセオプト」は、技術で魅せるコレクションだった。しかし美と技の融合を楽しむコレクションへと進化を始めている。男性も女性も魅了するオーデマ ピゲの最高峰が完成した。

6時位置のブリリアンカットダイヤモンドを冠したフライングトゥールビヨンケージは圧巻。